学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。
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2013年3月27日の日本マイクロソフトの発表で、『大阪府教育委員会、日本マイクロソフトと連携して全府立高校を対象に遠隔授業サポートシステムを提供』する、というニュースがありました。
今回のシステムは、音声と映像をリアルタイムで届けあう通信技術によって、長期入院中・自宅療養中の生徒の授業参加を可能にし、学習上の遅れを防ぐ事が出来る、というものです。
(府教委の発表では、将来は自宅や病院での勉強を単位認定することも視野に入れ、難病の小中学生や不登校の生徒への活用も検討されている事が伺えます。)
クラウドサービスの発展によって、登校が困難だった生徒の教育機会が保障されるのは大変喜ばしい事です。
ただ、全国に約250校あり、19万人近くの生徒が在籍する通信制の高校にとっては、自らの存在理由を再定義しなければならない転換点が訪れたと言えるかと思います。
というのも、通信制高校は
●「全日制・定時制の高校に通学することができない青少年に対して、通信の方法により高校教育を受ける機会を与える」こと
をその定義とし、事実上、不登校状態にある生徒や、中途退学の経験を持つ生徒の進学先としての役割を担ってきた歴史があります。
(念の為補足しますが、全ての学校がそうではありません。また私自身は、そういった学校を運営され、日々生徒と向き合っておられる先生方に個人的な敬意を感じています。)
少し想像の飛躍があるかもしれませんが、今回の大阪府の取り組みは、
●高卒資格を取得する為の、代替的な機会の提供のみに存在理由を見出している通信制高校は、今後縮小せざるを得ない。
という流れを示しているように思われます。
自校の役割の再確認と、積極的に選ばれる為の魅力の創出が必要な時期が来ていると言えるでしょう。
水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)