先週末、職場の声優・パフォーマンスコース1期生による、『ブンナよ、木からおりてこい』の公演を見に行って来た。
本当に良い舞台だった。
実際に見て、特に心が動いた事が3つ有る。
一つ目は、一人ひとりが自分の役柄をしっかりと演じ切っていたこと。
キャンパス内のオーディションで配役を決めている以上、思い通りの役を射止めた生徒がいる一方、希望の役につけなかった生徒も居た。
悔しさや、葛藤を抱えていた生徒がいることも知っている。
初めは、どうしても納得出来ない気持ちもあったと思う。
でも、舞台で演じる姿はとても輝いていた。
例え出演する時間は短くても、ハッと息を呑む場面や、思わず引き込まれる情景が沢山あった。
作品全体の中での自分の役割を咀嚼して、自分の演技を作り上げていった事が見てとれた。
二つ目は、コースのメンバー全員で、自分たちのブンナの世界観を見事に表現していたことだ。
水上勉による原作を読んでみると、児童文学ながら、根底には仏教的なストーリーが流れている事が分かる。
舞台では、生き物の弱さや苦しみを描きながらも、それさえも受け入れて、肯定して生きていく強さが表現されていた。
きっと皆、今の自分のハートと共鳴する部分を見つけたんじゃないかと思う。
見ている者の心にも響いてくるものがあった。
残酷な話ではあるけれど、生徒達が演じるイメージはとても美しかった。
三つ目は、全員を引っ張っていき、舞台を仕上げるコースの先生方の力。
時々スタジオでの稽古を覗きに行っていたが、やはり演出の先生方の力量は大変なものだ。
生徒達と向き合いながら、全員で舞台を作り上げる所まで導いていく姿勢。
明快な演技指導をしつつも、生徒の役に対する理解や、生徒自身の身体や気持ちから出てくる表現を引き出していく姿勢は、本当に凄いものだと思う。
見に行けて、本当に良かった。
10代の頃の自分と比べてみても、生徒達の方が凄い高校生であることは間違いない。
今の一年生達が、卒業する頃にはどんな姿になっているんだろう。
生徒が作り出すものに驚き、一緒に楽しみながら、もっともっと成長に関わって行きたいなぁと思います。
水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)