通信制高校で仕事をしていると、生徒から対人的な悩みを聞くことがしばしば有ります。
一例を挙げると、不登校を経験をして来た生徒にとって、ペアワークやグループワークが有る授業、すなわち複数の生徒とのコミュニケーションが発生し得る場は不安の種のようです。
ここから、具体的な解決策・代替案を提示していくのが教員の役割。
ただ、こういった訴えを聞いた時、まずははごくあっさりと
「そうなんや。」
と返答するようにしています。
最初は、否定も肯定もしません。
勿論、これだけでは折角の成長の機会を逸してしまいます。
相手との関係性やタイミングにもよりますが、少しずつ
「(他の人と接するのが)好きじゃなくても、まあまあ出来るようになるかも知れないで。」
「今は出来なくても、少しずつやればハタチぐらいには出来てるかも知れないよ。」
「一人が好きなのは全然良いけど、大勢とも居られる方が生き易いよ。」
というメッセージを伝えていきます。
損得が響く生徒であれば、
「コミュニケーション力を今のうちにつけておいた方が、大人になてからおトクやで。」
「単に知識が有るだけより、色んな人と関わる力があった方がお金になるよ。」
という話をします。
直ぐには変化に繋がらなくても、そうした積み重ねが半年後・一年後の成長に響いて来るのだと思います。
余談ですが、私自身中高生の頃は人と関ることに苦手意識しか無かったですが、10代の終わりに偶々教育の世界に惹きつけられ、訓練の結果多少変わりました。
得意かと聞かれたら分かりませんが、必要な話は出来るし、そういった力を寄せ集めて生徒と関わっています。
人間には向き不向きも有りますし、苦手なものを好きになる必要は有りません。
でも、自分は苦手だと思っていることでも、まあまあ出来るようになるかも知れない。
やってみることで、自分や他者に対して新しい発見が有るかも知れませんよ。
水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)