2月の始め頃に、リヒテルズ直子さんによる「オランダに学ぶこれからの日本の性教育」という講演を聴講して来ました。
性教育と言うテーマに関心を持った私自身の動機としては、
- 小中学校段階で誤学習を積み重ねてきた生徒や、他者の感情理解に課題を持っている生徒の恋愛や性の悩みに上手く関われていないこと。
- 自校の性教育が「寝た子を起こすな」式の消極的な取り組みに止まっていること。
- 様々なトラブルが起こる中、事後的な対応では無く、日常的にもっとすべきことがあるのでは無いかと感じていること。
が挙げられます。
講演の要約とは異なるかも知れませんが、自分なりに受け止めたポイントを書いておきます。
- オランダにおける充実した性教育の根本には、「人権意識」や「自立した市民の育成」という理念がある。
- 移民・難民の流入によって様々な宗教的背景を持つ人々が増加する中、性意識についても多様性を尊重する姿勢がより一層求められている。性意識が一人ひとり異なることを認め、性的マイノリティの人権を尊重することも指針として定められている。
- 社会における性的なタブーの存在は、封建社会の支配体制と密接な繋がりを持っている。性の問題は、民主化や個人としての独立にも通じるテーマである。
- 人を好きになり性的な関係を築くことも、本来は人として「祝福すべきこと」である。そういった、性・生に対する肯定的な面をきちんと教えている。単に「してはいけないこと」「タブー」としては、性や人を好きになることが忌むべきことになってしまう。
- 幼い時期から、「自分が望まないことにノーと言うこと」を教えている。性被害から身を守る意味も有るが、自他の尊重や、自立して行動出来ることに重きを置いている。
- 思春期以前や小学生段階から具体的な避妊方法について教えることに目が行きがちだが、他国と比べて子どもたちが性交渉に至る年齢は早くは無い。
- 性教育をすすめる中では、ピアグループや、電話・チャットによる相談室、動画や絵本・ゲームを活用したゲーム教材を活用している。
- LGBTの子どもの約5分の1が自分の性的傾向を受け入れられない。自殺企図や自殺未遂も高い現実がある。
水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)