教員として生徒と関わっていると、私などでは到底及びもしないような才能にしばしば出会います。
知的能力のこともあれば、身体能力、対人能力、ある分野への情熱など、状況は様々です。
何かしら優れた資質を持っていることは素直に誇って良いことだと思いますし、そのままどんどん進んでいって欲しい。
しかし、際立った能力の芽を持ちながらも、体調やメンタル面の要因から力を上手く発揮出来ず、高校生活での夢・目標との間で悶え苦しむ場面を目にすることが有ります。
15年前後の限られた人生の中で、それ程までに真剣に悩み抜く生徒に掛けられる言葉は僅かです。
勿論、一支援者としては、必要以上の失敗体験をさせたくないという思いは持っています。
それでも、例えば二者択一の中から両方を選び取る生徒が居たら、自分は止めることは出来ません。
先日した面談をしたある生徒は、元々持っていた入学時の希望には区切りをつけ、一つの選択をすることになりました。
どうやら、表現の世界では無く、教育やメンタルヘルスの分野を目指すようです。
今はまだ、劣等感のようなものに苛まれているかも知れません。
しかし、自分にとってより大切なテーマに気づいたり、自分の状況を理解しながら取捨選択をしていくことは、何ら恥じることでは無いと思います。
教員が出来る唯一のことは、生徒自身が悩み抜いて出した決断を尊重し、受け止めることです。
勇気を持ってした決断を、心から讃えたいと思います。
水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)