「もっと勉強しておけばよかった」という言葉

今の職場の教員になって、3年目になる。

一緒に入ってきた生徒たちも、もう最高学年。

将来を見据え、目の前のやるべきことに必死な顔で取り組んでいる者が多い。

こういう表情って、とても素敵だと思う。

勉強について。

学校の先生が口にするお説教で、

「今勉強しておかないと、いつか必ずもっと勉強すればよかったと後悔する日が来るよ。」

という文句があった。

自分自身の人生を思い浮かべてみると、悔しい思いをしたこと、痛い目にあったことは数限りなくある。

でも、この種の「後悔」は感じてこなかった。

きっと、人より愚かに出来ているからだと思う。

高校三年生の大学受験では、志望校の合格発表の掲示板を三度見返しても自分の番号は見つからなかった。

大学生の頃に福祉や教育の現場の門を叩いてからは、自分の力の無さを痛感するばかりだった。

大学院生の頃は、英語や数学と言った基礎学力、思考力の乏しさを感じ続けた。

社会人になってからも、そういった思いはずっと続いている。

勉強にせよコミュニケーション力にせよ、やはり高校生のうちに身につけるべきことは、可能な限りその時にマスターしておくに越したことは無い。

でも、自分がもしもう一度高校生の頃に戻れたとしても、きっと同じことを繰り返すと思う。

迷い、右往左往し、多くの時間を無目的に使ってしまうだろう。

数え切れないほど不甲斐ない思いをした結果、30歳を過ぎた今、将来の為にできる事を何とかやっている。

高校生の生徒たちに伝えたい結論。

今やるべきことから逃げていると、自分が求める目的地に辿り着くまで、余分に時間がかかる。

人間としての持ち時間は限られているから、もっと遠くまで行ける可能性を持っていたとしても、夢の途中までしか行けないかも知れない。

後になってからヒリヒリするような思いを味わう事になる。

大人になってから遅れを取り戻そうとするのは、結構大変です。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

心の鍵~金馬宗昭先生を偲ぶ~

学生の頃。

通信制高校における支援について身をもって教えて下さったのは、当時ECC学園高等学校に勤めておられた金馬宗昭先生だった。

金馬先生とは、2005年に門を叩いたNPO法人ノンラベルで知り合い、後に非常勤講師として高校に通わせて頂いた。

 

暖かくて、まるで金馬先生のお人柄が形になったような学校だと思った。

金馬先生が生徒と雑談する表情には、いつも相手への関心と愛情が溢れていた。

毎朝早くに出勤され、前日に生徒が学んだ机を雑巾で拭いておられた事をよく覚えている。

静かな朝の教室に漂う空気から、何事かを感じ取っているようでもあった。

 

先生がECCで働くまでの経緯は、後に出版された著書を読むまで知らなかった。

  • 金馬宗昭『不登校、ひきこもり-こころの解説書―僕がひきこもりだったときに言えなかったこと』(学びリンク)

この本の中に、「学ぶこと、そして心の扉の鍵を持つこと」という一節が有る。

確か、次のような内容だったと思う。

学校で生徒の悩みや苦しみと向き合う中で、誰かがその心の扉を開けなければならない場面がやってくる。

その時、教員がその子に合った心の鍵を持っていなければならない。

 

僕自身は、新卒で教員になる道を選ばず、会社勤めをしている時にこの本と出会った。

自分なりの目標や、まずは自分自身を鍛えたいという決断があってその進路を選んだつもりだ。

ただ、根底には

「自分は、そんな心の扉の鍵なんか持って居ないんじゃないか。」

という不安があった。

自分にその資格が有るのか怖かったのだと思う。

 

心から求める事と改めて向き合った結果、少し遠回りして教員になった。

生徒を理解することは、なかなか難しい。

でも、上着やズボンのポケットを探して見れば、僕も2~3本ぐらいだったら鍵を持っているんじゃないかな、という気が最近はしている。

今の僕が多少なりとも教員らしい事が出来ているとしたら、それは金馬先生のお陰だと思う。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

何かを変えるには時間がかかる

自分を変えたい。

変わりたい。

高校入学を機にそう考えている生徒は多い。

僕も18・19歳の頃は切実にそう思っていたし、大学生になってからも多少は努力した。
ただ、今目の前にいる高校生と比べると、自らを変える事は最近少し怠けていたかも知れない。

10代という時間は、物凄いスピードで変化する。
細胞分裂を繰り返しながらぐんぐん伸びる、植物の先端のようだ。

しかし、こと習慣に関しては、ゆっくり時間をかける必要がある。

今までの生活リズム、登校ペース、人との接し方、考え方のクセ等々。
これらを変えようと思ったら、一朝一夕には行かない。

嫌になるかも知れないけど、こればっかりは続けて見ないと分からない。

僕自身の事で言えば、3年かけて変わった事もあれば、10年掛かって少しだけ進歩した事もある。
努力したけど余り変わらない事もある。

いずれにせよ、自分を簡単に見限ったりせず、焦らず行くのが大切だと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

大人と子どもの違い

同じ高校生でも、大人と子どもがいる。
大人だな、と感じる人は、今自分がすべきことを精一杯やっている。
一方で、周りの不満ばかり口にする人もいる。
学校だけじゃなく、もしかしたら一般の社会でもそうかも知れない。

一番の違いは、まず変えるべきは自分自身、という事を知っているか否かだと思う。

自分が高校生だった頃を思い返すと、何の事はない、斜に構えて勉強を怠けている煮え切らない生徒だった。
好きなことだけは一生懸命やったのがせめてもの救いだ。

だから、斜に構えた生徒を見ると、思わず苦笑してしまう。

いずれにせよ、周りを気にせずまずは自分自身の課題と正面から向き合うことが大切だと思う。
ある人にとっては毎日学校に通う事かも知れないし、誰かと話す事、勉強や表現で努力する事かも知れない。

否定的な意見は気にする必要は無いと思う。

~余談~
もっと凄い大人は、純粋な「子どもの心」を持ったまま、周りの人を巻き込んで環境自体を変化させたり、今まで無かった物を作り出したりする。
自分もそんな大人になりたいです。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

性格

世間では、明るく元気な事が良しとされがちだ。
学校教育の中でも、そういった生徒が褒められるように思う。

でも、僕自身は内向的な性格の持ち主も嫌いじゃない。

静かだけど、内に秘めた思いを持っている。
そんな性格もカッコ良い。

大好きな作家や表現者を思い浮かべてみても、内に対する眼を持ち、ある種の生き難さと向き合い続けた人は多い。

人間生きていれば不愉快なこともあるし、いつも明るく笑顔でなんていられない。
それぐらいの方が、人として親しみを感じます。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)