周りの助け

教員一年目は、2年生のクラスを受け持った。

担任としての私は、ダメダメだったと思う。

生徒の心は上手く掴めず、学校での日々のルーティンにも慣れないし、ミスも多かった。

今だから言えるが、教室には「去年の〇〇先生はこうだったのに」「××先生のクラスの方が良かった…」と言う空気が漂っていて、何とかしようとして更に空回った。

沢山失敗をして、同学年の先生には数え切れない程助けて頂いた。自分が原因で生んでしまったクレームについて反省したことも多い。

生徒対応についてベテランの先生から注意を受けたことも一度や二度ではない。そんな中、時にエレベーター内で同僚が「あの場面(の生徒指導)は、水溪先生が正しかったと思いますよ」とそっと声を掛けてくれたことは、小さな自尊心への慰めとなった。

ここまでは思い出話。

クラス運営について思うのは、同僚の支えは勿論、実は「助けてくれる生徒」の存在がとてつもなく大きい。

今改めて職員室を見渡すと、自校の一年目の先生は皆、少しでも良い授業をする為に工夫をし、絶えず生徒を気に掛けている。

そんな教員側の思いを汲んでくれる生徒がクラスに何人かいるだけで、とても心強いものだ。

私にも、そんな風に支えてくれた生徒が何人か居る。今も居る。

別に、教員の言うことを聞く良い子になって欲しい訳でも、失敗を大目に見て欲しいという訳でも無い。

ただ、担任の思いや意図していることを、少し想像してくれるだけで良い。

是非、一緒にクラスのことを気に掛けて力を貸して欲しいです。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

健全なコミュニケーションを増やす仕掛け

12月1日火曜日の朝に、教室の入り口付近にこんな仕掛けを置いてみました。

その日の日付の箇所をめくると、中からチョコが出てくるアドベントカレンダー。

当初考えていたねらいは、

①朝5分前には登校する習慣を強化したい。

②終業式までの残り日数を意識しながら過ごして欲しい。

③始業前の生徒間での小さなコミュニケーションのきっかけを作りたい。

という3つ。

改めて振り返って見ると、①については、冬季は様々な理由で遅刻欠席が出る時期でもあり、出席率・遅刻率共に変化は見られず。

②については、体力や学習・対人面で少し疲れが出始めていた生徒にとっては、時間や予定の見通しがわかるというのは、ある種のストレス軽減につながるように思います。

最も効果を感じたのは、③の生徒間のコミュニケーション。

私も毎朝5~10分前には教室の端に居るようにしていますが、その日食べた生徒がチョコの味について感想を口にしたり、カレンダーをめくったかお互いに声を掛け合ったりと、生徒の小さな集団間でもほんわかとしたやり取りが見られました。

朝余裕を持って登校した学校での数分を、少しだけ楽しく過ごす上では役に立ってくれたようです。

色々尤もらしいことを書きましたが、生徒がわいわいしているのを見るのは、単純に嬉しいものでした。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

生徒に対する活動量を視覚化する

夏休みが明けて4日間が経ちました。

ここ数日、生徒に対する「声掛け表」という記録を残しています。

このツールは過去に職場の大先輩から教わったもの。生徒の氏名を一覧にした表を作り、一定期間のうちに教員から声掛けが出来たかを記録し、自身のコミュニケーションの状況を把握する為のものです。

厳密なルールはありませんが、私は

  • 挨拶や注意を除く教員からの声掛けであること。
  • 一対一のコミュニケーションの形を取っているもの。
  • 生徒からの声掛けや質問に対する返答の形を取る会話は除く。

というルールで記録をしてみました。以下の表のようなイメージです。

No.氏名内容
1○○ ○○
2○○ ○○試験教室での雑談
3○○ ○○英検についての話
4○○ ○○
5○○ ○○夏休み明けの髪型について
6○○ ○○電話での連絡・登校時のねぎらい
7○○ ○○
8○○ ○○
9○○ ○○教室移動時の雑談
10○○ ○○
30○○ ○○
声掛け表の例(単に声を掛けたら丸をつけるだけでも良い)

集約すると、次のような結果になりました。

分類人数クラスに占める割合
①教員からの声掛け13人43.3%
②生徒からの声掛けが起点9人30.0%
③不足8人26.7%

あえて意味づけを行うと、

①差し当たって教員からのコミュニケーションが取れている。

②生徒から相談することは出来るが、教員からの働き掛けは不足していると感じてる可能性有り。

③一対一のコミュニケーションの総量自体が不足。困りを感じていても相談出来ないか、関係性が指示・連絡・注意に寄っている可能性有り。

と言ったところでしょうか。

残念ながら、30人の生徒のうち声掛けが出来ているのは半数以下でした。

組織として「生徒へのサポート」を看板に掲げていますが、クラスの全員と関係を築くことの難しさを改めて感じます。

ベテランの教員であれば意識せずとも良好な関係を築いているのかも知れませんが、これが今の私の結果です。

この仕事をしていると、生徒をなかなか登校・学習に導けなかったり、長期欠席や予期せぬトラブルに悩むことが沢山あります。

しかし、その背景には生徒-教員間の関係性と言う要素が一因として存在しますし、それを形作るコミュニケーションの質と量はある程度コントロール可能な筈です。

自分自身で意識して振り返ったり記録しないと分からないことですが、この表であれば、一日の終わりに短時間で出来ます。

1年の終わりに後悔する事が無いよう、定期的にチェックを継続したいと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

夏休み明け登校日前の電話

長期休暇明けの登校を来週に控えた金曜日。

様々な準備の合間に、クラスの生徒に電話を掛けていました。

登校日初日の諸連絡については、生徒所有のiPadやスマホ等で閲覧可能な共有用のアプリで伝えられるので、一件にかける時間はごくごく短いものです。

主なねらいは、生徒の状況確認と、一つでも週明けからの不安解消を行うこと。

実際に昼過ぎに電話を掛けてみると、気だるく眠そうな声に出会うことや、元気な声にこちらが励まされる場面もあります。

中には、気恥ずかしそうに最近の生活リズムや、困っていることについて語ってくれる生徒もいます。

勿論、繋がらないこともあります。

電話をしていて感じるのは、電話越しとは言え、一対一の関係から伝わってくる情報の多さです。

慌しく始まる登校日初日。残念ながら、1人対30人の教室ではキャッチしきれないことも多くあります。

自分自身が、生徒に向けて少しずつチューニングされていくようにも感じます。

政府がまとめた2015年の自殺対策白書によると、過去約40年間にわたって集計した18歳以下の日別の自殺者は9月1日が最多であり、長期休暇明けの児童生徒の心理的負担の大きさが伺えます。

教員の働き方の問題が議論される今日ですが、削減・効率化出来ることはとことんしながら、命に関わるかも知れないこうしたケアには変わらず時間を掛けていきたいです。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

緊急事態宣言下の高校で変わったこと・変わらないこと

4月7日に緊急事態宣言が発令されて以来、勤務する高校でも休校が余儀なくされ、生徒は依然一日も登校出来ていない状況が続いている。

この2週間は、教員も交互に在宅勤務を交えながら、朝9:00に始まるオンラインのショートホームルームや、主に午前中3時間の枠に組まれたZoomでの授業の対応に追われていた。

3月の末には、教員にとってのルーティンの意味についての記事を書いたばかりだったが、あっという間に仕事の形が変わってしまったように思う。

今年は1年生のクラスを受け持たせて頂いたこともあり、毎朝PCの画面を通じて30人の生徒に声を掛け、様々な不備に対する問い合わせに応え、合間にはオンライン上で保護者を交えた三者面談を行った。

初めてのことばかりだが、面談で生徒や保護者の方に伝えることは余り変わらない。

まずは、この2週間きちんと朝起きて、SHRの為にネットにアクセスし、生徒自身が良い習慣の土台作りを続けていることを褒めている。その上で、今感じている不安を解消する為のコミュニケーションを重ねる。場合によっては、直近の小さな目標を一緒に立てる。

まずは生徒に聞き、その上で保護者の方に質問する。専門の心理職・福祉職の人には及ばないが、保護者が話している時の子どもの表情や仕草から、画面越しとはいえ様々な情報を受け取ることが出来る。

幸い、多くの方から、

「入学前は、なかなか朝起きられないことが続いていたが、オンライン上で朝のSHRや授業があることで、本人も頑張って起きられている」

「まだ実際に登校できないことには残念な気持ちもあるが、(少ない負荷の中から取り組むことが出来て)結果的に良かったと思う」

と言うようなお声を頂いた。

勿論、中にはネット環境が未整備で電話でのフォローが欠かせないご家庭もあれば、中々思うように動き始めることが出来ない生徒も居る。授業全体の数や、自分の受け持つオンライン授業の質にもまだまだ改善の余地は多い。

しかし、不登校経験や様々な悩みを持つ生徒が居る私達の高校において、不完全とは言え家庭にリーチし、学習を支援する取り組みがスタート出来たことは本当に良かったと思う。

全員には充分届いていない苦しさと、形は変われど30人の生徒に関与出来る喜びを噛み締めている。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

教員は、出勤日を分け各フロアに分散して仕事をしています。Zoomを使用する際は一人で教室へ。