「得意を活かせる役割」と「苦手を補う仕組み」

学校法人・教育・福祉業界コンサルタントの水溪です。

いつもお読み頂き有難うございます。

先日、社会就労センター・小規模作業所の支援を行う兵庫セルプさんにご案内頂き、兵庫県内の福祉事業所の見学に伺って来ました。

ご訪問させて頂いたのは、「NPO法人豊岡市手をつなぐ育成会」さん。

同法人は、障害のある方の保護者と支援者が母体となって設立した組織で、就労継続支援事業(B型)、生活介護事業を始め、多様な年代の方がより良い生活を送る為の福祉サービスを提供されています。

今回は、第5回スウィーツ甲子園兵庫県大会で1位を獲得した「玄さんがんこサブレ」の製造現場を見せて頂きました。

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良質な原料を使用し、ゆるキャラをモチーフにする事で地域おこしの思いも込められたこのスイーツの製造工程は、①下準備、②生地作り、③型抜き、④焼成、⑤包装に大別され、その各工程を利用者さんが担当されています。

前述した一つ一つの役割は、各メンバーの力を得意な分野で発揮出来るように、練習を重ねた上で決定し分業体制が取られています。

その他にも、現場内には毎日スムーズに製造現場を回す為の視覚構造化の取り組みや、品質を維持する為の工夫、ミスが起こりにくくする為の配慮が見て取れました。

案内して下さったスタッフさんの話では、「まだまだ試行錯誤をしているところです。」ということでしたが、利用者さんの得意を伸ばし、苦手な面をカバーする為の気配りが行き届いた空間である事がわかります。

素晴らしいですね。

玄さんがんこサブレ、機会があれば是非一度味わって頂ければと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

消費者との距離を近づける心遣い

学校法人・教育・福祉業界コンサルタントの水溪です。

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先週、滋賀県・滋賀県社会就労事業振興センターさんが主催する、『おこしやす B.A.P 2013』というイベントにお邪魔してきました。

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同イベントは、「障害があってもなくても、地域で働き地域で暮らす」というビジョンのもとに、地域・企業・福祉事業所を結びつけることを意図した大規模な展示会。

各福祉作業所が食品や製造分野における商品・サービスを発信する事で、毎年数々のコラボレーションやマッチングが生まれているそうです。

今回見学させて頂いて特に感じたのは、

●「メーカー」としての力を研ぎ澄まし、かつ消費者の立場に立ったアプローチを徹底されている。

という点です。

どの施設さんも、所謂「福祉作業所」というポジションでは無く、メーカー、マーケッターとしての強いアイデンティティが表れていました。

これまで福祉の現場を支えてこられた方々と、日夜仕事に取り組むスタッフさんの力が結実した結果であるように思います。

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個人的にとても気になったのは、亀岡福祉会(かめおか作業所)さんの展示。

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雰囲気のあるブースに近づいてみると・・・

テイスティングスプーンに一口分のお米とお肉がのせられています。

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スタッフさんの説明によると、こちらはなんと、京都丹波地域のシカ肉を使った佃煮なんだそうです。

これはつい、気になって見ちゃいます。

商品の力を高めるだけでなく、消費者との距離を近づける為の心遣いが、こういった所にあらわれているように感じます。

その土地ならではの味というのも良いですよね。

私は実家が愛知なので、帰省の際は、関西土産として是非両親に買って帰りたいと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

授産施設・作業所商品の営業時に準備したいアプローチブック

学校法人・教育・福祉業界コンサルタントの水溪です。

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食品や雑貨の製造を行う福祉事業所にとって、企業の担当者さんとの出会いがある展示会は貴重な営業機会です。

自法人の商品に関心を持って貰い、その後の関係性を築けるかどうかで、新たな販路が生み出せるかが決まるといっても過言ではありません。

ただ、福祉サービス事業所で日々利用者の方と向き合う支援者さんの多くは、こういった営業は不得意とされる方が多いようです。

一生懸命作り手の気持ちを伝えようとしても、なかなか引き合い獲得に繋がらないというケースが多いと伺います。

私からご提案させて頂きたいのは、

●所謂営業トークが苦手ならば、無理に話そうとしないこと。

●予め、商品の魅力を伝える為のツールをきちんと準備すること。

●ツール作成の際は、商品を店頭に並べる小売店さんの気持ちをちょっとだけ想像してみること。

という3点です。

商品の魅力をまとめたアプローチブックを事前に作成し、顧客の関心に応じてページを示しながら話をする事で、口だけで説明するよりも効果的に伝えることが可能になります。

また、実際の売場でのディスプレイのイメージや販売実績といった情報を盛り込み、小売店・バイヤーさんにとってのメリットを感じさせることも重要です。

各施設の思いがこもった商品の魅力を伝える為にも、是非取り組んで頂きたいと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

結局は自分がどこまで変われるか

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

いつもお読み頂き有難うございます。

以前、関西でずっと障害者福祉に携わってこられた方にお話を伺う機会が有りました。

その時の話題は主に作業所や就労支援に関することだったのですが、

「結局は、支援者自身がどこまで変われるかです。」

という言葉がありました。

私は福祉の現場で働く者ではありませんが、この「●●者自身が」という部分を入れ替えれば、どんな仕事にも言える事だと思います。

小さな事にこだわり失敗を繰り返してしまう私は、事あるごとにこの言葉が頭に浮かび、いつも恥ずかしい気持ちになります。

今朝も眠りから覚めた時、雨音を聞きながらこの言葉がひどく思い出されたのでここに記しました。

今日も一日宜しくお願い致します。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

ギフトショーで見たデザインの力

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

いつもお読み頂き有難うございます。

昨日は、お付き合いのある社会福祉法人さまのブースへお邪魔する為に、

『第49回大阪インターナショナル・ギフト・ショー春2013』

へ行って参りました。

(今回の出展計画は、兵庫セルプセンターさんが中心になって進められたもので、関西圏で選ばれた作業所をはじめとした複数の団体が、アクセサリーや雑貨、菓子と言った商品の展示をされていました。)

展示を拝見してまず感じたのは、そのデザインのレベルの高さです。

ただ売るのでは無く、商品を使用するシーンや、背景にあるストーリーまで意識されている事が伝わってくるものでした。

ここで、私なりに「良いデザイン」定義すると、

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1.【誰に伝えるのか?】・・・対象の選定

2.【何を伝えるのか?】・・・顧客が享受する価値

3.【何をもって伝えるのか?】・・・媒体の選択

4.【より伝わるようにするには?】・・・価値の伝達レベルの向上・美的な効果の追求

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という4つの問いへの答えが明確で、一貫性がある状態、と言えるかと思います。

これらの点が熟考されている商品には、真っ直ぐに相手の心に届く力があります。

それと、もう一つ感じたのは、今回出展された作業所の殆どが「障害」「福祉」というキーワードを前面には押し出していなかったことです。

売り方に必ずしも正解・不正解がある訳ではありませんが、「お客さんにとっての商品の価値」を追求された顕れ、というように私は受け取りました。

それにしても、商品の価値の伝え方次第で、消費者との関係がこんなにも近づくものなんですね。

デザインが持つ力に、胸が高鳴る思いでした。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)