学校説明会におけるムービーの活用

学校法人・教育・福祉業界コンサルタントの水溪です。

いつもお読み頂き有難うございます。

先日、関西の中高一貫校さまにご依頼頂き、学校説明会時に使用する動画を納品させて頂きました。

広報担当の先生からご満足の声も頂け、とても良いものに仕上がったかと思います。

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説明会の場で動画を活用するメリットは大きく3つあります。

一点目は、「視覚的な情報伝達量の多さ」です。

1時間に満たない説明の場で多岐に渡る内容を伝えるのは非常に困難です。

そんな中、5分ほどのムービーに訴求すべきポイントをまとめたものを流す事で、口頭では伝え切れない情報を伝えることが可能になります。

第二に、「期待感の向上の為のツールとしての役割」です。

効果的な説明会をプロデュースするポイントはいくつがありますが、冒頭部で見学者の関心を惹きつけるコンテンツを配する事が重要なカギとなります。

躍動感のある音楽にのせて、活躍する卒業生の姿や生徒へのメッセージを送ることも動画だからこそ出来ることと言えます。

第三に、「自校の魅力の全体像を提示する効果」です。

私自身は、学校説明会やオープンキャンパスの要は実際の教育内容や先生方・在校生の方々に触れることだと考えていますが、そこで得られる情報は非常に断片的になる恐れがあります。

その点、予め自校に関する全体的なイメージを伝えることで、その後の説明や体験コンテンツの浸透力も向上します。

限られた時間で学校の魅力を伝え、学校生活と将来に対するイメージを持って貰う為に、是非一度動画の使用を検討されては如何でしょうか。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

他校を紹介する勇気

学校法人・教育・福祉業界コンサルタントの水溪です。

いつもお読み頂き有難うございます。

我々がオープンキャンパスや学校説明会の良し悪しを評価する際の項目の一つに、「他校に対する適切な情報を伝えているか」というものがあります。

言うまでも無く、説明会の場で優先すべき事は、自校について知って貰いその魅力を体感して貰う事です。

しかし、個別相談の場で生徒や保護者のニーズを細かく伺った上で、もしも生徒にとって他校が望ましい選択肢になり得るのであれば、その情報を伝える事も必要です。

私がお世話になったある通信制高校の校長先生は、学校内を一通り案内した後に、必ず上記のような姿勢で見学者の方と向き合っておられました。

短期的な「売上」の確保という意味では、もしかしたら望ましく無いことなのかも知れません。

その見学者さんが、他校を見た上で、それでも再び自校に来てくれるかは分からないですから。

ただ、教育者として私はこの先生を非常に尊敬していますし、多くの生徒さんもその人柄を慕って毎年入学されています。

自校が何の為に存在しているか、また出来ること・出来ないことが明確であり、現在提供している教育内容に自信があるからこそ出来ることだと思います。

教育はそれを望む人全てに開かれているべきものだと思いますが、相手が求めるものと自校の強みとが合致しない可能性があるのであれば、他校を紹介する勇気も必要だと感じます。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

貴校の学習成果物は外部から見えますか?

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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先日、総合学科を有する西日本の高等学校さまのオープンキャンパスをご訪問させて頂く機会がありました。

同校は選択授業の自由度の高さを活かし、就職の為の資格取得だけでなく、専門学校や大学進学を視野に入れた各分野の体験授業を重視する方針をとっている学校です。

校内には、進学実績や授業外の取組み、各種大会への参加実績に加え、アートやファッション系の授業で作られた作品が至るところに設置されており、「生徒の成果物を見せる」という点を非常に意識的に取り組んでおられました。

(余談ですが、学校業界はこのような内観演出に関しては、塾やパソコン教室、カルチャー教室と言ったスクール業から学ぶべき点が多くあるように思います。)

この学校が素晴らしいのは、成果物の発信が説明会の場に留まらない点にあります。

具体的に申しますと、教務や学習成果物を発信する取り組みが、WEB上でも徹底されているのです。

同校のホームページ上にはアート系コースのバナーが設けられており、クリックする事で生徒作品や各種受賞実績、中学生へのメッセージと言ったコンテンツがあらわれ、入学後の制作風景についてイメージを膨らませる事が出来ます。

今回の事例では、学校のHPに特設ページを設ける方法が取られていますが、facebookやブログを活用する事で、より更新作業を容易にする手段もあります。

学校パンフレットやHPだけでは、どうしても型にはまったオフィシャルな情報発信になりがちですので、こういったツールを活用し、生徒の学習成果物や、授業上の魅力的な取り組みについて継続的に発信をしてみては如何でしょうか。

学校との距離が縮まり、自校独自の魅力がぐっと伝わり易くなるはずです。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

オープンキャンパスでまず伝えるべき事とは

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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この時期、多くの高校では入試説明会に先立ち、オープンキャンパスやオープンスクールが開催されています。

お付き合い先の学校を始めいくつかに訪問させて頂きますと、授業の一部を体験させるもの、早い段階で入試対策について触れる学校、外部の特別講師を招聘する学校、複数回実施し回を重ねるごとに異なった内容を用意する学校など、実に様々です。

ここで少し立ち止まって考えてみたいのですが、そもそもオープンキャンパスで伝えるべき事とは何でしょうか。

自校の魅力、各学科・コースの特色、サポート体制、教職員の方々の人となり、授業の様子、進学実績、部活動・・・などなど。

どれも間違っていないと思います。

参加者の自校に対する関心を高めることで、次回のイベントや入試説明会に誘導し実際に受験させるという目的が、生徒募集を考える上での一つの正解になるのでしょう。

しかし、「まず伝えるべき事は何か」と考えた場合、個人的には

●高校生になるとは一体どういうことか。

を伝えるのが最も大切なように感じます。

多くの生徒さんは高校進学を当たり前のことと考えているかも知れませんが、高校進学という事自体は本来主体的な一つの決断であるはずです。

私が実際に見学に伺った高校では、体験授業や学校説明の場で、中学校や高校・大学での学習との違いや、今が人生の中でどういう位置づけの時期なのか、そもそも学ぶとはどういう事かを先生方の言葉で伝える時間を持たれていました。

つまり、

①「先生達は、学ぶという事や高校での学習とはこういう事だと思っている。」⇒②「ウチの学校では、こんな取り組みをしている。」⇒③「君達自身は、何の為に勉強しようと思っているの?」

というように生徒に問いかける流れを持っているのです。

多くの学校では、ひたすら②を伝える事に終始しているのでは無いでしょうか。

これは、極端な言い方をすればただの押し売りになりかねません。

勿論、学校のカラーやブランド、歴史やカルチャーによって追求すべきオープンキャンパスの形は異なります。

あくまで個人的な意見ですが、きちんとした情報と先生方の姿勢を伝えた上で、生徒自身に考えさせる機会を提供する形が私は理想だと思っています。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

学校説明会における座談会コンテンツ

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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昨年の夏にご訪問させて頂いた東海地方の私立高等学校さまでは、学校説明会のコンテンツとして『生徒・保護者による壇上での座談会』を導入されていました。

一般的な生徒募集の場では、教職員による学校の魅力のアピールがメインになる場合が多い為、これは画期的な事と言えるかと思います。

座談会の形式は、長机に生徒2名・保護者1名が腰掛け、司会者の質問に答えていくという、シンプルなもの。

内容としては、1名目の普通クラスの生徒が、学習上のサポートや部活動の事を、2名目の特進クラスの生徒が、指導体制や周囲にも応援して貰いながら学んでいる事を自分の言葉で話していました。

先生と生徒の掛け合いからも、普段の学校生活をイメージするのに十分なものでしたが、最後の保護者のコメントは、非常に印象に残るものでした。

その方は、

●子どもが以前通っていた中学校ではいじめがあり、高校でもいじめが起きないかとても不安だった事。

●この学校は先生と生徒の雰囲気がとても良く、いじめなど無かった事。

●今は、勉強も部活動も一生懸命取り組んで、楽しみに学校に通っている事。

を、訥々とした口調で語っておられました。

不特定多数の前で、こういったデリケートな事を話すのは、大変勇気が要る事だと思います。

折りしも、滋賀県大津市の出来事が記憶に新しい時期であった為、受験生や保護者でなくても、その声に思わず聞き入ってしまうものでした。

余談ですが、このように第三者からの評価を伝える事によって、購買行動を妨げるような不安を取り除く手法を、船井流のマーケティングでは『信用訴求』と呼んでいます。

上記の座談会は、その点を効果的に活用している例と言えるでしょう。

ただ、「そうか、説明会で座談会をすれば良いのか。」とだけ取られてしまうと、古い諺に言う画竜点睛を欠く事になります。

というのも、この学校では現場の先生方主導で、10年以上の年月をかけて今ある学校の形を作られてきた、という経緯があります。

その結果が、今の学校のカルチャーや、生徒・保護者・地域からの評価として結実しています。

本当の意味で何かを変えるには、10年以上の時間がいる。

身が引き締まる思いのする言葉です。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)