10代で向き合う問い

先日、勤務する高校の入学試験業務で中学3年生と話す機会が有った。

その際、保護者の方から

「子どもが学校に行けなかった時期を振り返ってみると、自分が今後どうなっていったら良いか分からなくて悩んでいるようだった」

という言葉があり、思わずはっとした。

なんて大きな問いだろうか。

私が関わる高校生の中にも、自分の生き方についての問いに、真っ直ぐに向き合っている生徒がいる。

個々の悩みは深くそれぞれ異なるので、十把一絡げに出来るようなアドバイスは無い。

ただ、その問いの答えは、「将来」という遠い対岸に転がっている訳では無いと思う。

これまで生きてきた中で吸収した物事や、心が動いた出来事、家族や他者との付き合い方、そういったものと地続きにあるはずだ。

進路選択の機会は、自分を形作る要素の一つ一つと向き合わなければならない、大きな節目の一つ。

苦しみもあるかも知れませんが、自分の可能性を信じて進んで欲しいと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

誰かの為に働く

先日、2年生の生徒と兵庫県内の特別養護老人ホームさんを訪問させて頂きました。

これまで就職か進学かで悩み続けて来ましたが、面談の中で介護というキーワードが挙がり、「まずは一緒に見に行ってみよう!」と今回の見学に至りました。

職場見学は、私自身とても興奮します。

職業人としての先輩から伺う現場の話は、いつも発見に満ちているからです。

主婦をされていたという職員さんの言葉からは、業種は違えど、利用者さんと真剣に向き合う姿勢や、若手の介護者をきちんと育てようと言う思いが伝わって来ます。

ご多忙にも関わらず、2時間近くに亘って介護の世界のやりがいや現実、辛い部分についても丁寧に教えて下さいました。

生徒の横顔は、そうした経験から紡がれた言葉を素直に吸収しているようでした。

余談ですが、見学の中で介護の仕事に興味を持った理由を問われる場面も。

生徒が自分の言葉でしっかりと答える姿にも感動しましたが、「そんな動機があったんだ!」と、正直驚きました。

これまで、細々とは言え2年近く関わってきたのである程度のことは知っているつもりでしたが、校舎の中の、生徒-教員間で見られる姿なんて本当にごく一部に過ぎないんだなぁと痛感。

何やら、生徒の中でこれからの生き方についての思考が動き出す場面に立ち会えたような気持ちです。

学校で学ぶ主体から、職業人として働くまでにはまだ少し隔たりがあるかも知れませんが、自身の資質を大切にしながら、良い形で将来の仕事に繋がってくれると思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

好奇心のアンテナ

先週末に終業式があった。

4月からあっという間だ。

教員の私がそうなのだから、新1年生も同じような思いだろう。

皆何かしら、中学校時代とは違う自分を発見したのでは無いかと思う。

 

前期の最終週は、進路学習に充てられた。

進路の考え方や受験制度の学習、大学の講義の聴講、専門学校の体験授業といった類のものだ。

狙いは、どんな選択肢があるかを知り、早い段階から自分の将来について考えて欲しい、という点にある。

生徒の反応を見る限り、大学の講義を聞くことはまだ少し難しかったかも知れない。

それでも、講義内容を必死にメモしたり、手持ちの知識と関連付けながらイメージを膨らませたりして、一つでもキーワードを持ち帰ろうとしている生徒も何人か見られた。

その一方で、授業を漫然と聞いている生徒や、早々に理解を諦めている顔もある。

両者の能力の差は、遠くから見ればそれ程大きいものでは無い。

一番の違いは、未知のものに対し、好奇心を持って取り組めるかにあるように思う。

(勿論、進路に対する動機付けや、聞くための姿勢を習得させるといった教員側の仕事もある。)

高校生活はまだ始まったばかり。

自分の欲求や周囲の情報にアンテナを向け、良い夏休みを過ごして貰えればと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

 

校名ではなく業界の魅力を伝える専門学校の広報事例

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

いつもお読み頂き有難うございます。

4月10日の京都新聞の記事、

●『「動物看護師」知って 伏見の専門学校が冊子制作』

で取り上げられていた資料を頂く為に、京都動物専門学校さまを訪問して参りました。

同校は、京都で唯一動物系の分野に特化した専門学校。

今回の冊子は、資格試験の統一によって昨年から開始された「認定動物看護師資格」に則った、動物看護師の仕事内容を伝えるものです。

この冊子の特筆すべきポイントは、

①学校名では無く、その業界(動物看護)自体の価値を伝える事に重きを置いている。

②楽しそうなイメージだけでは無く、仕事の厳しさや命と関わる仕事の重みを伝えている。

③仕事の内容だけで無く、学校が目指す動物看護師像についても文末できちんと言及している。

という点にあるかと思います。

実際、新聞掲載後、地域の図書館や企業・マスメディアからも問い合わせが続いているとの事です。

中身を読ませて頂きましたが、中高の先生方が、キャリア教育の導入部分や進路指導の場面でも活用出来るものになっていました。

(個人的には、文中にあった「動物看護師の仕事は、決して派手ではありません。」というフレーズにぐっと来ました。)

学校の枠を超えて、未来の生徒や教職員・保護者・産業界の人々に対して業界の魅力を真摯に伝える姿勢が、共感とクチコミに繋がった好例と言えるでしょう。

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水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

校内掲示物を活用した専門学校のキャリア教育事例

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

いつもお読み頂き有難うございます。

船井総合研究所に入社して3年目になります。

自分が日々周囲の方々にご指導頂いて来た事から考えると、社会人になるというのは、

●これまで自分が育ってきた小さな世界で身に着けた思考パターンではなく、社会の中で仕事をしていく為に必要な価値基準と習慣を身に着けること。

であると認識しています。

こうした「価値観の転換」を求められているのは、就職活動に入る専門学校生や大学生の方も共通するものがあるかと思います。

私が過去に訪問させて頂いた文化・教養関係の学科を持つ関西の専修学校さまでは、就職課の窓口脇の掲示板いっぱいに、就職活動をする上で必要な心構えが貼られていました。

大きな文字で所狭しと掲示されているのは、就職の意義や、各業界の募集の慣習、履歴書を書く上での原則といったもの。

中には、

●「会社訪問の前には必ず所在地を下見する事!」

●「面接試験の最後には必ず質問をする事!」

という大変具体的なアドバイスもありました。

全体を通じたメッセージは、「授業を受ける側の受身の存在としての学生」から、「能動的に行動する社会人」への移行を促している点です。

あくまで想像ですが、この学校の先生方は、授業やその他の指導の場面でも、上記のメッセージを繰り返し繰り返し伝えられているのでは無いでしょうか。

先ほどの「大事な約束の前にはきちんと下見をする」という言葉も、この習慣を持っているかどうかで、試験や面接といった勝負時に発揮する力も違ってくるように感じます。

もっと言うと、その後の仕事や人生までも変わるかもしれません。

校内掲示物も、日々の指導と連動させる事で、キャリア教育・就職支援を行う上で大きな効果が期待出来ます。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)