放課後等デイサービスでの成長の視覚化

学校法人・教育・福祉業界コンサルタントの水溪です。

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私は保育園~小学校の頃に、地元の「名鉄スイミングスクール」に通っていました。

確か、学校のプールの授業で水に顔がつけられなくて、「これはいかん!」と思い親に頼んで通わせて貰った記憶があります。

もともと不器用な方なので速く泳げる訳ではありませんが、「蹴伸び」や「バタ足」から始まって基礎的な泳法を少しずつ覚え、2ヶ月に一回ある「進級チェック」をクリアする事で貰えるバッジがとても誇らしかった記憶があります。

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スポーツ教室やスクール業界でも活用される学習成果の視覚化。

先ほどはバッジという例を挙げさせて頂きましたが、この他にも、

●基本的な動作を習得する毎に評価シートにスタンプ押す

といった方法もあります。

スクールビジネスにおいては「退会防止」の一言に帰結される本施策ですが、利用者さんの療育の為の補助ツール、保護者とのコミュニケーションツールとしても非常に有効です。

子供の立場からすれば、獲得したことに対して適切な評価をして貰える体験となりますし、次に取り組むべき課題が明確になる事で、目標意識を持つ事が出来ます。

保護者にとっては、日頃直接は支援・療育の場を見る事が出来なくとも、受けているサービスの内容や子供の成長が一目でわかり、安心して事業所に通わせる事が出来ます。

お子さんと親御さんが安心して継続出来るというのは、療育の効果を一段と高める結果になるはずです。

小学生を対象とした放課後等デイの事業所であれば、ある種のソーシャルスキルや、簡単な運動などを評価してあげるケースもあります。

本人さんの状態にもよるので完全に共通の評価シートを作る事は難しいかもしれませんが、これから各種プログラムを整えられる事業所さんは、是非ご検討頂ければと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

放課後等デイサービス事業所の外観演出施策

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放課後等デイサービスを提供する事業所さんの多くは、看板や外観にはさほど意識を向けておられないケースが多いようです。

そもそもが商売とは性質の異なる「福祉サービス」だから、という理由があるように思います。

或いは、地域によっては事業所数自体が少ない為に、マーケティングについて考慮しなくとも利用者獲得に困らないエリアがある為かも知れません。

事実、平成24年の児童福祉法の一部改正によって現在の形となった放課後等デイは、業種・業態のライフサイクルという観点で見れば、今なお導入期若しくは成長期にあると考えられます。

しかし、地域によっては事業所数も順調に増加しており、遠くない将来に市場が成熟期に向かうのは確実です。

これらを鑑みると、ただ看板を出せば良いのでは無く、外観施策でも少し先の市場の変化を見越した効果的な伝え方が必要となります。

結論だけ簡潔に申しますと、導入期であれば看板に

●業種名(放課後等デイサービス)+事業所名

を大きく記載すれば良かったものが、成長期・成熟期にはこれに加えて

●プログラムやコースの魅力

も訴求していく事が求められます。

仮に、療育機会提供の場としての放課後等デイを志向せず、レスパイトに近いニーズを満たす事を目指すのであれば、利用時間や利用可能日といった「利便性」を全面に出す工夫をする施策が有効となって来ます。

自施設の「+α」の要素が何であるか、そして、どのように発信するか。

外観演出施策の範疇を超える話かもしれませんが、これから参入を検討される方には、是非一度考えて頂きたいテーマです。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

買い物弱者支援と移動販売

学校法人・教育・福祉業界コンサルタントの水溪です。

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私の住んでいる大阪府高槻市は、大阪市と京都市の中間に位置する人口35万人のベットタウン。

普段の買い物は、お得な食料品は駅前の平和堂で、その他の定番の品はイオンのネットスーパー等の宅配を活用することが出来とても便利です。

その一方で、昨今『買い物弱者(買い物難民)』というキーワードが注目を浴びています。

経済産業省の資料によると、高齢化・人口減少により、地域で日常の買い物や必要なサービスを受けるのに困難を感じる人たちが、高齢者を中心に全国で約600万人いることが指摘されています。

このような状況の中、滋賀県には『ぎょうれつ本舗』と呼ばれる先駆的な取り組みがあります。

●軽四移動商店街ぎょうれつ本舗(http://gyouretuhonpo.shiga-saku.net/

滋賀県社会就労事業振興センターが企画する同事業は、軽四トラックで高齢化の進む地域へ食料品や日用品の販売を行う、謂わば「移動販売モデル」です。

特筆すべきは、福祉事業所や就労支援に関わる企業などが連携し、障害のある当事者さんが販売という仕事を通じて地域の方と接することが出来るという点にあります。

「近くにお店が無い」「運転が出来ない」「移動の手段が無い」という悩みをもったお年寄りへの購入機会の提供は、非常に付加価値の高いサービスであると感じます。

買い物弱者支援という枠を超えて、高齢者の見守りや就労支援、地域での共生といった様々な可能性を秘めた事業と言えそうです。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

オープンキャンパスにおける体験授業の目的とは

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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これからの季節、全国の高等学校さまでは第二回、第三回のオープンキャンパスの準備が進められているのでは無いでしょうか。

昨今、オープンキャンパスの場で「体験授業」を導入しているケースが散見されますが、中には学校の特色や学科・コースの魅力を効果的に伝える工夫がなされ、それ自体に教育的な効果が期待出来るものもあります。

しかし、先生方からお話を伺っていると、毎年恒例の体験授業をすることが目的となってしまい、必ずしも明確な意図を持たないまま実施されている事があるようです。

ここで足をとめて考えて見たいのですが、私は体験授業は大別すると次の3つのパターンがあるように思います。

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第一は、学習に対する動機付けを目的とするもの。

有名な外部講師を招いたり、最先端の研究に取り組む大学関係者による特別講義の実施などがこれに当たります。

ハイレベルな印象を与える事が出来る反面、実はこれ、普段の学校の様子を伝えている訳では無いという短所があります。

第二は、先生方の普段の授業に触れさせることを目的とするもの。

各科の教員が腕によりをかけた授業を提供し、参加者は希望するものを受講します。

専門の科を持つ学校では、実習や職業体験の一部を見せるものもあるようです。

普段の学校の姿や、先生の人となりを見せるには、この形が最も優れているように思います。

第三は、お楽しみ要素を全面に出したもの。

オープンキャンパスは一種のイベントという側面もありますので、楽しい体験をして帰って貰うのも一つの方法です。

(ただ、高校は「学びの場」ですし、これが全面に出てくるのは私は少し違うように思いますが。)

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皆様の学校の体験授業は、どのタイプに一番近いでしょうか。

勿論、どれが正しいという答えはありません。

それぞれの要素をバランスよく盛り込んだり、第一回、第二回と回を重ねるごとに前述した3要素の比重を変えていく方法もあります。

オープンキャンパスは、生徒獲得の手段であるとともに、先生達が学校をどのような場として捉えているか、また、どんな学校にしたいと思っているかを示す発信の場でもあります。

是非、先生方で体験授業の目的について議論を重ねて頂ければと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

貴校の学習成果物は外部から見えますか?

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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先日、総合学科を有する西日本の高等学校さまのオープンキャンパスをご訪問させて頂く機会がありました。

同校は選択授業の自由度の高さを活かし、就職の為の資格取得だけでなく、専門学校や大学進学を視野に入れた各分野の体験授業を重視する方針をとっている学校です。

校内には、進学実績や授業外の取組み、各種大会への参加実績に加え、アートやファッション系の授業で作られた作品が至るところに設置されており、「生徒の成果物を見せる」という点を非常に意識的に取り組んでおられました。

(余談ですが、学校業界はこのような内観演出に関しては、塾やパソコン教室、カルチャー教室と言ったスクール業から学ぶべき点が多くあるように思います。)

この学校が素晴らしいのは、成果物の発信が説明会の場に留まらない点にあります。

具体的に申しますと、教務や学習成果物を発信する取り組みが、WEB上でも徹底されているのです。

同校のホームページ上にはアート系コースのバナーが設けられており、クリックする事で生徒作品や各種受賞実績、中学生へのメッセージと言ったコンテンツがあらわれ、入学後の制作風景についてイメージを膨らませる事が出来ます。

今回の事例では、学校のHPに特設ページを設ける方法が取られていますが、facebookやブログを活用する事で、より更新作業を容易にする手段もあります。

学校パンフレットやHPだけでは、どうしても型にはまったオフィシャルな情報発信になりがちですので、こういったツールを活用し、生徒の学習成果物や、授業上の魅力的な取り組みについて継続的に発信をしてみては如何でしょうか。

学校との距離が縮まり、自校独自の魅力がぐっと伝わり易くなるはずです。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)