周りの助け

教員一年目は、2年生のクラスを受け持った。

担任としての私は、ダメダメだったと思う。

生徒の心は上手く掴めず、学校での日々のルーティンにも慣れないし、ミスも多かった。

今だから言えるが、教室には「去年の〇〇先生はこうだったのに」「××先生のクラスの方が良かった…」と言う空気が漂っていて、何とかしようとして更に空回った。

沢山失敗をして、同学年の先生には数え切れない程助けて頂いた。自分が原因で生んでしまったクレームについて反省したことも多い。

生徒対応についてベテランの先生から注意を受けたことも一度や二度ではない。そんな中、時にエレベーター内で同僚が「あの場面(の生徒指導)は、水溪先生が正しかったと思いますよ」とそっと声を掛けてくれたことは、小さな自尊心への慰めとなった。

ここまでは思い出話。

クラス運営について思うのは、同僚の支えは勿論、実は「助けてくれる生徒」の存在がとてつもなく大きい。

今改めて職員室を見渡すと、自校の一年目の先生は皆、少しでも良い授業をする為に工夫をし、絶えず生徒を気に掛けている。

そんな教員側の思いを汲んでくれる生徒がクラスに何人かいるだけで、とても心強いものだ。

私にも、そんな風に支えてくれた生徒が何人か居る。今も居る。

別に、教員の言うことを聞く良い子になって欲しい訳でも、失敗を大目に見て欲しいという訳でも無い。

ただ、担任の思いや意図していることを、少し想像してくれるだけで良い。

是非、一緒にクラスのことを気に掛けて力を貸して欲しいです。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

不注意によるミスやストレスを無くす生活面のルール

保険会社に勤務する妻は安全管理についての心得があるようで、家の中に危険や不便さを見出すと、改善策を考えるのがクセになっている。身近にいる者として、素直に凄いと思う。

なるほど、日常生活の中での失敗やストレスも、小さな工夫やルールで防げることは多い。

私自身、自分の不注意さを自覚しているつもりだが、それでも年に何回かは持ち物のことで失敗をする。特に、鍵や定期といった貴重品管理。出掛けに見つからないと、とても焦る。

(自己弁護をする訳では無いが、着ているシャツの胸ポケットの有無、季節の変わり目のジャケットの脱ぎ着、その他イレギュラーな出来事が起こった際に、「ついうっかり」をしてしまう。)

今のところは、様々試した結果「ICOCA定期券・電子マネー(楽天カード)は玄関のトレイに置く」「家の鍵は常時通勤用のリュックにぶら下げる」と言うルールで落ち着いている。

前述したような失敗を経験しているのは、私だけでは無いようだ。自分が教員として10代と関わる中でも、小さな躓きが原因で「登校する」という行動が難しくなってしまう生徒がいる。

一つ一つのミスは小さいように見えても、時間的・精神的余裕が無い中での行動は大きな危険を招いたり、自尊感情の低下や他者からのマイナス評価にも繋がったりもしかねない。

その背景には様々な理由があるので一括りに語ることは出来ないが、避けられるストレス要因は減らせた方が良い。

日常生活や物の管理上のルール、ちょっとした道具、アプリケーション等も含めると、改善の手法は無数にある。

良い工夫が有れば、是非教えて貰えればと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

定期と電子マネーは玄関のトレイに。家の鍵は私も妻もカバンに下げている。

自分の行動をコントロールする知性

「すごい!」と思わず叫んでしまった。生徒が開けたロッカーの内側に、こんな掲示物が貼ってあったからだ。許可を得て写真を撮らせて貰った。

自校では、南京錠やダイヤルロックで施錠出来るロッカーが一人一台あり、教科書や貴重品の管理に使用している。

事情を聞くと、この生徒は前者のタイプの鍵を使っていて、過去に中にキーを入れたまま施錠してしまったことがあるそうだ。そうして自ら考え出したのが、この方法。

自分の失敗や傾向をきちんと把握して、良い方向にコントロールしようという知性にとても感動した。

私自身がこうした工夫を知ったのは大学生の頃「視覚構造化」という言葉を学んでからだったし、広く実践されている場を見たのは会社員として工場や物流拠点を訪れた時だった。

何が言いたいかというと、彼は10代の頃から自分を変える為の知恵を知っていて、誰に言われるでも無くそれを実践している。

きっと将来、僕には思いもつかないような仕事や豊かな人生を実現してくれそうな気がします。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

コロナ禍で広がる教育格差への危惧

教員として言いにくいことだが、家庭の教育力は千差万別で、大きな開きが存在する。

例えば、そもそも家が安全安心な場では無かったり、日常的な衣食住のケアが不足していたりして、基本的な生活習慣も身についていない生徒がいる。

そこには、経済的理由や健康上の問題、様々な要因が横たわっている。

私立高校の現場でも、こういった事例は珍しいことでは無い。

義務教育段階にある小中学校の先生方は、更に大変な苦労をされているのだと思う。

家で入浴が出来ない児童が体を清潔に保てるよう学校で助けたり、食事を摂るための世話をしていたという話も聞く。

コロナ禍で登校や集団授業が困難になる中、オンラインでの学習や新しい学びの形が試行錯誤されるのは、基本的に望ましいことだ。

家庭の支援の下で既に基本的な学びの習慣を持っており、それらのツールを使いこなし、その上で学校外の学びの場や資源にアクセスできる生徒は良い。

しかし、前述したような環境下にある児童生徒達が、教育的、福祉的支援から更に遠ざかってしまうことを危惧する。

これまで通常業務の枠を越えて教職員が担ってきた支援的な関わりや、集団の中での学びを通して得られてきたものが、それらの生徒に届かない恐れがある。

社会政策の問題かも知れないが、我々教員が出来ることで言えば、所謂ソーシャルスキル・リビングスキルをきちんと明文化し、習慣化の為の方法を教えることが必要なのだと思う。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

健全なコミュニケーションを増やす仕掛け

12月1日火曜日の朝に、教室の入り口付近にこんな仕掛けを置いてみました。

その日の日付の箇所をめくると、中からチョコが出てくるアドベントカレンダー。

当初考えていたねらいは、

①朝5分前には登校する習慣を強化したい。

②終業式までの残り日数を意識しながら過ごして欲しい。

③始業前の生徒間での小さなコミュニケーションのきっかけを作りたい。

という3つ。

改めて振り返って見ると、①については、冬季は様々な理由で遅刻欠席が出る時期でもあり、出席率・遅刻率共に変化は見られず。

②については、体力や学習・対人面で少し疲れが出始めていた生徒にとっては、時間や予定の見通しがわかるというのは、ある種のストレス軽減につながるように思います。

最も効果を感じたのは、③の生徒間のコミュニケーション。

私も毎朝5~10分前には教室の端に居るようにしていますが、その日食べた生徒がチョコの味について感想を口にしたり、カレンダーをめくったかお互いに声を掛け合ったりと、生徒の小さな集団間でもほんわかとしたやり取りが見られました。

朝余裕を持って登校した学校での数分を、少しだけ楽しく過ごす上では役に立ってくれたようです。

色々尤もらしいことを書きましたが、生徒がわいわいしているのを見るのは、単純に嬉しいものでした。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)