すいすい進む、すくすく育つ

この春から、職場の通信制高校で単位制キャンパスの1年生を担当させて頂いています。

全日型のキャンパスとは異なり、希望したコマ数に基づき、自分だけの時間割を組むことが出来るのが特徴。

週2~3回の登校の生徒もいますし、朝から夕方まで授業を受けなければいけないことも有りません。

1年生と話をしていると、キャンパスの自由な空気を吸い込んで、自身の興味関心に従い上手く自主性を発揮している生徒も見られます。

先日は、ロボットやプログラミングに興味を持っている生徒にグランフロント大阪に有るナレッジキャピタルの情報を伝えようとした所、私が言うまでも無く既に知っていた様子。

更に話を聞いてみると、夏休みにはIT系のサマーキャンプに申し込んでいるとのことで、二度吃驚。

教員から見る限り、気負った様子も無く、すいすい進んでいる感じです。

自分が高校生の頃は、「学校の勉強は大変だけどやらなければいけないもの」と思っていましたが、この生徒の場合は、まずは大好きなものに直接触れて、そこから自分が今やるべきものを掴んで持ち帰って来るんだろうなぁ、という感触がありました。

正に、すくすく成長している感じ。

きっと、誰かに言われてやるより、もっともっと遠くまで進んでいけるんだろうなぁと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

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「もっと勉強しておけばよかった」という言葉

今の職場の教員になって、3年目になる。

一緒に入ってきた生徒たちも、もう最高学年。

将来を見据え、目の前のやるべきことに必死な顔で取り組んでいる者が多い。

こういう表情って、とても素敵だと思う。

勉強について。

学校の先生が口にするお説教で、

「今勉強しておかないと、いつか必ずもっと勉強すればよかったと後悔する日が来るよ。」

という文句があった。

自分自身の人生を思い浮かべてみると、悔しい思いをしたこと、痛い目にあったことは数限りなくある。

でも、この種の「後悔」は感じてこなかった。

きっと、人より愚かに出来ているからだと思う。

高校三年生の大学受験では、志望校の合格発表の掲示板を三度見返しても自分の番号は見つからなかった。

大学生の頃に福祉や教育の現場の門を叩いてからは、自分の力の無さを痛感するばかりだった。

大学院生の頃は、英語や数学と言った基礎学力、思考力の乏しさを感じ続けた。

社会人になってからも、そういった思いはずっと続いている。

勉強にせよコミュニケーション力にせよ、やはり高校生のうちに身につけるべきことは、可能な限りその時にマスターしておくに越したことは無い。

でも、自分がもしもう一度高校生の頃に戻れたとしても、きっと同じことを繰り返すと思う。

迷い、右往左往し、多くの時間を無目的に使ってしまうだろう。

数え切れないほど不甲斐ない思いをした結果、30歳を過ぎた今、将来の為にできる事を何とかやっている。

高校生の生徒たちに伝えたい結論。

今やるべきことから逃げていると、自分が求める目的地に辿り着くまで、余分に時間がかかる。

人間としての持ち時間は限られているから、もっと遠くまで行ける可能性を持っていたとしても、夢の途中までしか行けないかも知れない。

後になってからヒリヒリするような思いを味わう事になる。

大人になってから遅れを取り戻そうとするのは、結構大変です。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

『ブンナよ、木からおりてこい』

先週末、職場の声優・パフォーマンスコース1期生による、『ブンナよ、木からおりてこい』の公演を見に行って来た。

本当に良い舞台だった。

実際に見て、特に心が動いた事が3つ有る。

一つ目は、一人ひとりが自分の役柄をしっかりと演じ切っていたこと。

キャンパス内のオーディションで配役を決めている以上、思い通りの役を射止めた生徒がいる一方、希望の役につけなかった生徒も居た。

悔しさや、葛藤を抱えていた生徒がいることも知っている。

初めは、どうしても納得出来ない気持ちもあったと思う。

でも、舞台で演じる姿はとても輝いていた。

例え出演する時間は短くても、ハッと息を呑む場面や、思わず引き込まれる情景が沢山あった。

作品全体の中での自分の役割を咀嚼して、自分の演技を作り上げていった事が見てとれた。

二つ目は、コースのメンバー全員で、自分たちのブンナの世界観を見事に表現していたことだ。

水上勉による原作を読んでみると、児童文学ながら、根底には仏教的なストーリーが流れている事が分かる。

舞台では、生き物の弱さや苦しみを描きながらも、それさえも受け入れて、肯定して生きていく強さが表現されていた。

きっと皆、今の自分のハートと共鳴する部分を見つけたんじゃないかと思う。

見ている者の心にも響いてくるものがあった。

残酷な話ではあるけれど、生徒達が演じるイメージはとても美しかった。

三つ目は、全員を引っ張っていき、舞台を仕上げるコースの先生方の力。

時々スタジオでの稽古を覗きに行っていたが、やはり演出の先生方の力量は大変なものだ。

生徒達と向き合いながら、全員で舞台を作り上げる所まで導いていく姿勢。

明快な演技指導をしつつも、生徒の役に対する理解や、生徒自身の身体や気持ちから出てくる表現を引き出していく姿勢は、本当に凄いものだと思う。

見に行けて、本当に良かった。

10代の頃の自分と比べてみても、生徒達の方が凄い高校生であることは間違いない。

今の一年生達が、卒業する頃にはどんな姿になっているんだろう。

生徒が作り出すものに驚き、一緒に楽しみながら、もっともっと成長に関わって行きたいなぁと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

仕事について知る入り口

今年受け持った1年生のホームルーム教室には、仕事についての本を何冊か置いていた。

自クラスの生徒だけでなく、たまたま立ち寄った隣のクラスの子や、2年生の先輩なんかも時々本を手に取っていた。

内心、しめしめ、と言う感じだ。

高校生の中で、将来の進路を明快に答えられる者はごく一部に過ぎない。

比較的興味がある事柄から、「今の段階では、この仕事をやってみたいな。」という“仮説”を持って欲しいと思うものの、中々それも難しい。

きっと、まだまだ自分自身に問いかける量も、社会について知っている量も少ないのだと思う。

写真の本は、後者を少しでも補えたら、と思って置いてみた。

『日本の給料&職業図鑑 Plus』(宝島社)は、普段お目にかからないような職業があったりして楽しい。

生徒も案外お金について興味があるようで、本を見ながら雑談をしている生徒をよく目にした。

『仕事を選ぶ 先輩が語る働く現場64』(朝日学生新聞社)という本も、個人的に気に入っている。

特に、幼稚園の先生を取り上げた章は、自分の適性や向き不向きについて悩みながらプロになっていった様子が丁寧に語られていて、職業選択について最初から完全な答えが見つかる訳では無い事が良く分かる。

こういう“過程”を知ることも、結構大切なことだと思う。

心のアンテナにひっかかったキーワードが入り口となって、新たなものが見つかるかも知れない。

色んな情報を吸収しながら、少しずつ自分の考えを形作っていって欲しいな、と思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

10ヶ月という時間

朝礼前に、教室をうろうろするのが好きだ。

休み時間の過ごし方を見ていると、それぞれの個性やライフスタイルが見えて面白い。

先日は、漢字の小テストの勉強をする生徒に目が留まった。

彼の机上のプリントには、繰り返し書かれた漢字がびっしりと並んでおり、始業前の数分も真剣な目つきでペンを走らせていた。

こんな顔をして勉強をしているんだ、と少し吃驚した。

数ヶ月前とは、全然違う顔つきをしているように思う。

今の時点では、まだまだ勉強に対する苦手意識があるようだし、成績もトップクラスという訳では無い。

けれでも、目の前のやるべきことに対する集中力は、何か響いてくるものがあった。

もしかしたら、この1~2年で一番伸びるんじゃないかな、という気がしています。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)