どこでも起こりうる恐ろしさ

福井の中学2年生の痛ましい事件についての報道が続いています。

新たな記事を見るたびに、怒りと言うより無力感を感じます。

まず目を引くのは教員による不適切な関りですが、背景に有るのは学校現場の様々なレベルの機能不全です。

学校全体としての指導体制、情報共有や組織風土、生徒の悩みをキャッチする仕組み、管理職の責任。

第三者委員会による事実の洗い出しが不可欠ですが、教育委員会や学外の支援機関も、学校現場で不適切な指導がなされ、中2生徒がこのような決断に至ってしまうまでに何の抑止力も持たなかった訳です。

一教員として感じるのは、いくつかの条件が重なれば、どんな教員でも加害者になる可能性があるということ。

そして、閉ざされた学校はそうした暴力を助長し、見過ごす温床となりうることです。

余りに大きく、根深い問題をどのように受け止めれば良いのかまだ分かりません。

続けて考えてみたいと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

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通信制高校に在籍する子どものレポートが進まないという悩みに対して出来ること

先日、ある親の会のグループワークにお邪魔した際、

「子どもが、学校のレポートを全然やらずに困っている。」

「親が言っても聞かない。」

という悩みを伺いました。

レポート、スクーリング、テストを三つの柱とする通信制高校において、自宅でのレポート学習は避けては通れないものです。

紙媒体、Eラーニング形式と形は様々ですが、これを期限内に終わらせることが出来ないと、単位習得が出来ず留年に繋がりかねません。

学校によってコースの特色や支援出来る内容は異なるかと思いますが、学習についての不安がある場合、入学前からどのようなサポートが可能かを相談して頂くのが良いかと思います。

私の場合、レポートの重要性を本人に繰り返し伝える、登校時に声を掛ける、保護者と定期的にやり取りをするのは勿論ですが、必要に応じて以下の3つの方法を取ることが多いです。


①レポートをする場所と時間を決める

行動の切り替えが苦手な特性を持っている生徒さんの場合、

「○日の○○時に登校して、2~3時間だけ勉強しよう。」

「授業の空き時間に、~のレポートをやろう。」

「授業が終わった後に、フリースペースで○○時までレポートをしよう。」

と言った促しをします。

普段、ゲームやアニメ、動画視聴等をしてリラックスする場である自宅で、気持ちを切り替えて勉強をするのは中々難しいものです。

そんな生徒には、自宅では無く学校でやることを提案します。

いくつかの選択肢を提示して選んで貰うと、結構納得してやってくれるように思います。

②横について部分的にサポートをする

一つ一つの言葉の意味に囚われ過ぎて進まないケースも有ります。

きちんと理解したいという思い強く、曖昧なのが許せなくて進まない場合、少し語弊は有るかも知れませんが、“いい加減”を覚えて貰うよう指導します。

教科書やレポートの内容を全て理解する必要は無いと伝えた上で、横について

「よっしゃ、解けた!」

「これは、深く考え過ぎると難しいから次行こう!」

というように、極力立ち止まらないように促します。

丁寧に勉強する生徒の姿勢を否定するつもりは有りませんが、〆切があるレポートの場合、時にはサクサク進めることも大切と言うメッセージを伝えます。

③生徒同士のつながりを活用する

教員からの直接的な声掛けより、周りの子を意識させることで頑張る生徒もいます。

例えば、その月のレポートをいち早く終わらせた生徒がいると、私は全力で褒めます。

そうすると、皆案外耳に入っているようで、自分も早く手をつけなきゃマズイかな、と思ってくれるようです。

あとは、生徒たちが自習する様子や、得意科目がある子が苦手な子に要点を教える様子を遠巻きに見守るだけです。


長くなりましたが、これらのサポートもずっと行う訳では有りません。

やり方のコツさえ掴んでしまえば、後は自分で出来るようになる生徒が殆んどです。

保護者の方からの言葉掛けも大切ですが、上手く教員や学校という場も活用して頂ければと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

提案できる関係

詰まらないことで権威を振りかざす人間は嫌いだ。

生徒にやらなければいけないこと、守るべきルールを伝えることも仕事だが、偉そうにする必要は無いと思う。

自分が教員として大切にしているのは、生徒に対して提案出来る関係を築くことだ。

通信制高校で生徒と向き合っていると、登校や学校生活、日々の学習、人間関係など様々な悩みに触れる。

そんな時、一通り話を聞いた後に

「提案なんだけど、まずは~をしてみてはどうだろう。」

という言葉が自然に出てくるかどうかが、自分の技量や相手との関係性を測るバロメーターになっている。

相手にとって必要だと思うことは全力で伝えるが、生徒はNOと言う権利も持っている。

勿論、僕の提案ぐらいではすぐに解決しないことの方が多い。

そんな時は、繰り返し話をしたり、また別の方法を一緒に考える。

そうやって、10代の内に乗り越えるべきことを一つずつ越えていければ良いと思う。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

すいすい進む、すくすく育つ

この春から、職場の通信制高校で単位制キャンパスの1年生を担当させて頂いています。

全日型のキャンパスとは異なり、希望したコマ数に基づき、自分だけの時間割を組むことが出来るのが特徴。

週2~3回の登校の生徒もいますし、朝から夕方まで授業を受けなければいけないことも有りません。

1年生と話をしていると、キャンパスの自由な空気を吸い込んで、自身の興味関心に従い上手く自主性を発揮している生徒も見られます。

先日は、ロボットやプログラミングに興味を持っている生徒にグランフロント大阪に有るナレッジキャピタルの情報を伝えようとした所、私が言うまでも無く既に知っていた様子。

更に話を聞いてみると、夏休みにはIT系のサマーキャンプに申し込んでいるとのことで、二度吃驚。

教員から見る限り、気負った様子も無く、すいすい進んでいる感じです。

自分が高校生の頃は、「学校の勉強は大変だけどやらなければいけないもの」と思っていましたが、この生徒の場合は、まずは大好きなものに直接触れて、そこから自分が今やるべきものを掴んで持ち帰って来るんだろうなぁ、という感触がありました。

正に、すくすく成長している感じ。

きっと、誰かに言われてやるより、もっともっと遠くまで進んでいけるんだろうなぁと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

「もっと勉強しておけばよかった」という言葉

今の職場の教員になって、3年目になる。

一緒に入ってきた生徒たちも、もう最高学年。

将来を見据え、目の前のやるべきことに必死な顔で取り組んでいる者が多い。

こういう表情って、とても素敵だと思う。

勉強について。

学校の先生が口にするお説教で、

「今勉強しておかないと、いつか必ずもっと勉強すればよかったと後悔する日が来るよ。」

という文句があった。

自分自身の人生を思い浮かべてみると、悔しい思いをしたこと、痛い目にあったことは数限りなくある。

でも、この種の「後悔」は感じてこなかった。

きっと、人より愚かに出来ているからだと思う。

高校三年生の大学受験では、志望校の合格発表の掲示板を三度見返しても自分の番号は見つからなかった。

大学生の頃に福祉や教育の現場の門を叩いてからは、自分の力の無さを痛感するばかりだった。

大学院生の頃は、英語や数学と言った基礎学力、思考力の乏しさを感じ続けた。

社会人になってからも、そういった思いはずっと続いている。

勉強にせよコミュニケーション力にせよ、やはり高校生のうちに身につけるべきことは、可能な限りその時にマスターしておくに越したことは無い。

でも、自分がもしもう一度高校生の頃に戻れたとしても、きっと同じことを繰り返すと思う。

迷い、右往左往し、多くの時間を無目的に使ってしまうだろう。

数え切れないほど不甲斐ない思いをした結果、30歳を過ぎた今、将来の為にできる事を何とかやっている。

高校生の生徒たちに伝えたい結論。

今やるべきことから逃げていると、自分が求める目的地に辿り着くまで、余分に時間がかかる。

人間としての持ち時間は限られているから、もっと遠くまで行ける可能性を持っていたとしても、夢の途中までしか行けないかも知れない。

後になってからヒリヒリするような思いを味わう事になる。

大人になってから遅れを取り戻そうとするのは、結構大変です。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)