全日制・定時制の枠組みを超えた高校

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

いつもお読み頂き有難うございます。

「定時制」と聞くと、私は山田洋次監督の『学校』(1993)という映画を思い出します。

定時制課程は歴史的に、中学校卒業後に勤務に従事するなど様々な理由で全日制高校に進学出来ない青少年に対し、高等教育の機会を提供する役割を果たして来ました。

近年は、全日制課程からの編・転入学と言った形で多様な入学動機を持った生徒が集まることから、その役割にも変化が見られます。

平成27年度開校を目指して進められている「京都フレックス学園構想」も、その流れを汲んだ計画です。

京都府の計画では、柔軟な単位制システムをベースとし、実習・体験型科目の充実、ソーシャルスキルトレーニング、ICTの導入、外部機関の人的資源・施設を活用した授業の実施などが盛り込まれています。

また、就労や自立支援の為プログラムも用意されており、発達障害のある生徒や不登校経験者へのサポートを行う学校としての役割も期待されています。

個人的に思うのは、後は「誰が」「どういうマインドで向き合うか」というヒトの部分でしょうか。

この先生達とだったら勉強を頑張ってみたいと思える関係性も、教育環境を考える上でとても大きい要素だと思います。

開校までまだ若干の期間があるので今後どうなるのかは未知数ですが、公教育も時代の要請を受け、全日制・定時制の枠組みを越えて確実にその姿を変化させています。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

口を閉じて聴く力

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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職業人として尊敬出来る先輩に囲まれて仕事をしています。

以前お世話になった40代のある先輩コンサルタントは、相手の立場や年齢に関わらず

●相手が何か言おうとすると、反射的に口を閉じる。

という事を習慣的にされていました。

このようなところに、人としての知性が出るように思います。

途中で遮る事無く、最後まで聞いた上で初めて口を開く訳です。

結果的には、これが一番効率的で、効果的なコミュニケーションに繋がるのでは無いでしょうか。

自分自身を省みると、話の半ばで口を挟んでしまったり、先に軽率な考えを言ってしまう事がしばしばです。

伝える力以上に大切な力だと感じます。

出来ていないこととして、素直に改めたいです。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

結局は自分がどこまで変われるか

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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以前、関西でずっと障害者福祉に携わってこられた方にお話を伺う機会が有りました。

その時の話題は主に作業所や就労支援に関することだったのですが、

「結局は、支援者自身がどこまで変われるかです。」

という言葉がありました。

私は福祉の現場で働く者ではありませんが、この「●●者自身が」という部分を入れ替えれば、どんな仕事にも言える事だと思います。

小さな事にこだわり失敗を繰り返してしまう私は、事あるごとにこの言葉が頭に浮かび、いつも恥ずかしい気持ちになります。

今朝も眠りから覚めた時、雨音を聞きながらこの言葉がひどく思い出されたのでここに記しました。

今日も一日宜しくお願い致します。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

生徒が最良の支援者になる

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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教育現場の先生方とお会いすると、発達障害のある生徒さんに対してどのような関わりをすれば良いか、という声をお聞ききする事があります。

極論を言うと、一人一人違うものですし、私は魔法のような方法は知りません。

ただ、限られた時間の中で、40名近い生徒に対してきめ細やかなサポートを行うのは、並大抵の事では無いと思います。

もっと沢山の支援者がいたら・・・、と誰もが感じるのでは無いでしょうか。

放課後等デイサービスを始めとした福祉事業を展開するNPO法人サンフェイスさんでは、この問題を正面から解決するある取り組みをされています。

それは、

●小中学校の生徒を対象とした発達障害に関する訪問授業

の実施です。

正直、私はお話を伺った際、「えっ、先生ではなく生徒さん向けですが?」と思わず聞きなおしてしまいました。

すなわち、障害に関する理解を深めて貰う為に、見え方や感じ方といった特性の体験や、適切な伝え方を知って貰うワークショップを提供されているのです。

授業の根底にあるのは、「相手の気持ちになって考えることが大切」というメッセージであり、柔軟な子ども達はどんどん吸収してくれると仰っていました。

言い換えれば、40人近い生徒が最良の理解者、支援者になる訳です。

それって、本当に凄い事だと思います。

(※言葉で言うのは簡単ですが、実際には訪問授業時の伝え方一つとっても、物凄い配慮がなされていると想像します。)

何も特別な支援で無くても、どうして困っているかを周囲が分かってくれる環境があれば、それに勝るものは無いように思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

複線型教育体系と職業教育の見直し

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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教育再生を掲げる安倍政権のもと、高等教育の「複線化」を巡る議論が進められています。

この議論は、高等教育機関における「学術教育」と「職業教育」の複線化を行い、同時に、専門学校を含めた職業教育の高度化の実現を目指すものです。

実際、平成24年度の学校基本調査を見ても、新規高卒者に占める専門学校進学率は16.8%(前年度比+0.6ポイント)と3年連続の上昇を示しており、職業教育への社会的な期待の高まりが伺えます。

しかし、明治5年の学制に始まる我が国の学校系統図は、基本的には大学教育を一つの頂点とし、依然

「幼稚園⇒小学校⇒中学校⇒高等学校⇒大学」

という一本の線を中心とした構成である為、それ以外のコースの評価は十分とは言えません。

今回の議論が進めば、

①特定の教育段階における「学術教育」と「職業教育」を行うカリキュラムの分岐。

②専門学校を含めた職業教育の高度化と、職業教育教育修了者に対して付与する学位の整備。

が実現される可能性があります。

①に関しては、どこまでを共通の教育とする事が適切かを見極める必要がありますが、②に関しては、学位の付与によって、職業教育修了者の国際的な評価が向上するという意味でも望ましい事だと思います。

少し想像の飛躍があるかも知れませんが、専門学校へ多くの進学者を輩出する高校も、遠くない将来に上記の変化を念頭に置いた事業戦略の立案と学科・コース・カリキュラムの見直しが求められる事になると考えられます。

大きな流れが来ているようです。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)