複線型教育体系と職業教育の見直し

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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教育再生を掲げる安倍政権のもと、高等教育の「複線化」を巡る議論が進められています。

この議論は、高等教育機関における「学術教育」と「職業教育」の複線化を行い、同時に、専門学校を含めた職業教育の高度化の実現を目指すものです。

実際、平成24年度の学校基本調査を見ても、新規高卒者に占める専門学校進学率は16.8%(前年度比+0.6ポイント)と3年連続の上昇を示しており、職業教育への社会的な期待の高まりが伺えます。

しかし、明治5年の学制に始まる我が国の学校系統図は、基本的には大学教育を一つの頂点とし、依然

「幼稚園⇒小学校⇒中学校⇒高等学校⇒大学」

という一本の線を中心とした構成である為、それ以外のコースの評価は十分とは言えません。

今回の議論が進めば、

①特定の教育段階における「学術教育」と「職業教育」を行うカリキュラムの分岐。

②専門学校を含めた職業教育の高度化と、職業教育教育修了者に対して付与する学位の整備。

が実現される可能性があります。

①に関しては、どこまでを共通の教育とする事が適切かを見極める必要がありますが、②に関しては、学位の付与によって、職業教育修了者の国際的な評価が向上するという意味でも望ましい事だと思います。

少し想像の飛躍があるかも知れませんが、専門学校へ多くの進学者を輩出する高校も、遠くない将来に上記の変化を念頭に置いた事業戦略の立案と学科・コース・カリキュラムの見直しが求められる事になると考えられます。

大きな流れが来ているようです。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

看護という仕事に求められるもの

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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仕事柄、看護系の学校の先生にお目にかかる事があります。

優れた観察眼と、優しさが同居した視線とでも言うのでしょうか。看護師、元看護師という方の眼差しには、一種独特のものを感じます。

看護の基本原理を築き、信念の実践者でもあったフローレンス・ナイチンゲールは、『看護覚え書』の中でその職業を次のように表現しています。

●自分自身はけっして感じたことのない他人の感情のただなかへ自己を投入する能力を、これほど必要とする仕事は他に存在しない。

こうも言っています。

●もしあなたがこの能力を全然もっていないのであれば、あなたは看護から身を退いたほうがよいであろう。

これから進路を考える10代の気持ちで読むと、非常に厳しい言葉ですね。

勿論、「全然もっていない」というのは稀だと思います。

また、人間は発達する存在ですし、多少の苦手はあっても、努力やその他の力でカバー出来る余地もあると信じたいです。

ただこの問題は、よりよいキャリア形成や中途退学の抑制という意味でも、生徒・教育者共に正面から向き合う必要のある大事なテーマだと思います。

やはり、一生にかかわる事ですから。

学校広報の立場から言えば、生徒募集の為の情報発信だけでなく、その厳しさや困難さも積極的に伝えていく姿勢と、事前相談会による意思のすり合わせの機会の充実が不可欠と言えるでしょう。

~追記~

どの職業にも、いつでも立ち返ることの出来る原点と言える書物があると思います。

そういう本があるのは幸せな事ですね。

私はたまたま浪人中に薦められてこの本を読んだのですが、今開いても、やはり震えるような思いがします。

これから進路を考える方は、良く分からなくとも良いので、そういった書物を教えて貰ってページをめくってみることをおススメします。

NOTES ON NURSING

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

『君たちはどう生きるか』という問いかけ

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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先日、吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』(岩波文庫)をふと手に取って再読しました。

凄い本ですね。

同書が出版された1930年代は、ヨーロッパではヒトラーやムッソリーニが政権をとり、日本は日中戦争に突入していく軍国主義の時代です。

そのような時代背景の中で、児童・生徒に対し書籍刊行を通じてメッセージを送られた事に、畏敬の念を感じます。

ストーリーは、主人公の身の回りで起こる日々の出来事や人間的な成長を中心に綴られるのですが、自身と社会に対する問い、科学・歴史・文化といった教養、人類の進歩といったテーマが相互に結びつき合い、眼が開かれるような思いがします。

それにしても、何と本質的な問いかけでしょうか。

私も、10代のある時期にこう問いかけてくれる師に恵まれた事を幸福に思います。

本当の教育とは、こういうものだと感じます。

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水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

広域通信制高校が取り組む放課後等デイサービス事業

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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障害のある子どもが、放課後や学校の休業日に利用出来る社会資源に「放課後等デイサービス」があります。

本サービスは、平成24年の児童福祉法一部改正に伴って整備された障害児通所支援の一つであり、就学中の障害児の生活能力向上の為の訓練や、社会との交流の促進を行う事業です。

利用に際して必ずしも手帳は必要では無く、地域の相談センターや医師等によって療育の必要性が認められれば、原則1割負担で利用が可能です。

ニーズの高まりに対して厚生労働省も規制緩和について言及する中、福祉業界以外からの参入事例も生まれています。

広域通信制高校を運営する株式会社代々木高等学校が設立した「よよこ~クラブ」(http://4450club.jimdo.com/)もその一例です。

同施設は、学童保育になじみ難い発達障害のある児童・生徒へ居場所を提供すると共に、代々木高等学院保育福祉コース生の研修の場としても機能しています。

勿論、療育の場としての品質を維持する為には優秀なスタッフの育成が大前提となりますが、地域資源と学校を繋ぐ連携の要として、また、次の教育段階へ移行しても継続的な支援を可能にする主体としての意義は非常に大きなものです。

マーケティングの観点から見ても、自校の教育部門の認知度の向上や、入学者予備群との関係を構築する効果が期待出来る、非常にチャレンジングな取り組みと言えます。

放課後等デイサービス事業には、本事例以外にも、既存事業との相乗効果を創り出す可能性がまだまだ眠っているはずです。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

校名ではなく業界の魅力を伝える専門学校の広報事例

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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4月10日の京都新聞の記事、

●『「動物看護師」知って 伏見の専門学校が冊子制作』

で取り上げられていた資料を頂く為に、京都動物専門学校さまを訪問して参りました。

同校は、京都で唯一動物系の分野に特化した専門学校。

今回の冊子は、資格試験の統一によって昨年から開始された「認定動物看護師資格」に則った、動物看護師の仕事内容を伝えるものです。

この冊子の特筆すべきポイントは、

①学校名では無く、その業界(動物看護)自体の価値を伝える事に重きを置いている。

②楽しそうなイメージだけでは無く、仕事の厳しさや命と関わる仕事の重みを伝えている。

③仕事の内容だけで無く、学校が目指す動物看護師像についても文末できちんと言及している。

という点にあるかと思います。

実際、新聞掲載後、地域の図書館や企業・マスメディアからも問い合わせが続いているとの事です。

中身を読ませて頂きましたが、中高の先生方が、キャリア教育の導入部分や進路指導の場面でも活用出来るものになっていました。

(個人的には、文中にあった「動物看護師の仕事は、決して派手ではありません。」というフレーズにぐっと来ました。)

学校の枠を超えて、未来の生徒や教職員・保護者・産業界の人々に対して業界の魅力を真摯に伝える姿勢が、共感とクチコミに繋がった好例と言えるでしょう。

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水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)