広域通信制高校が取り組む放課後等デイサービス事業

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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障害のある子どもが、放課後や学校の休業日に利用出来る社会資源に「放課後等デイサービス」があります。

本サービスは、平成24年の児童福祉法一部改正に伴って整備された障害児通所支援の一つであり、就学中の障害児の生活能力向上の為の訓練や、社会との交流の促進を行う事業です。

利用に際して必ずしも手帳は必要では無く、地域の相談センターや医師等によって療育の必要性が認められれば、原則1割負担で利用が可能です。

ニーズの高まりに対して厚生労働省も規制緩和について言及する中、福祉業界以外からの参入事例も生まれています。

広域通信制高校を運営する株式会社代々木高等学校が設立した「よよこ~クラブ」(http://4450club.jimdo.com/)もその一例です。

同施設は、学童保育になじみ難い発達障害のある児童・生徒へ居場所を提供すると共に、代々木高等学院保育福祉コース生の研修の場としても機能しています。

勿論、療育の場としての品質を維持する為には優秀なスタッフの育成が大前提となりますが、地域資源と学校を繋ぐ連携の要として、また、次の教育段階へ移行しても継続的な支援を可能にする主体としての意義は非常に大きなものです。

マーケティングの観点から見ても、自校の教育部門の認知度の向上や、入学者予備群との関係を構築する効果が期待出来る、非常にチャレンジングな取り組みと言えます。

放課後等デイサービス事業には、本事例以外にも、既存事業との相乗効果を創り出す可能性がまだまだ眠っているはずです。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

発達障害のある新入生を迎える大学がすべき事

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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全国で、入学式や入社式のニュースが聞かれる4月になりました。

急な環境変化への適応や、人間関係上の苦手を持つ発達障害のある当事者さんにとっては、特にストレスが多い季節だと思います。

実際、こうした大学生へのサポートを専門にされている支援者さんにお会いすると、

●大学に合格したのに、入学後の宿泊型のオリエンテーションで躓き、不登校状態になってしまった。

●単位履修の仕方が十分に理解出来ず、誰にも相談する事が出来なかった。

という話をしばしば伺います。

ある種の感覚上の過敏さを持つ方にとって、宿泊型のイベントは苦痛や刺激に満ちており、非常に敷居が高いものです。

また、キャンパスでは親しくなった者同士で「履修科目どうする?」と相談し合う風景が至る所で見られますが、仲間関係を築くのが不得意な人にとっては、そういった輪に入るのは困難です。

(それ以外にも、アナウンスの聞き漏らし、掲示の見落としがあったり、同学年の生徒をモニタリング出来ていない為に、「周りの人がやっているから、自分もやらなきゃ。」という考えに至らない事も考えられます。)

こうした生徒に対して、大学教職員がすべき事は何でしょうか。

最も必要なものは、

●障害の疑いのある相談者の話をよく聴くこと。

●生徒、保護者、場合によっては高校進路担当者と連携を取り、入学前から人的なサポートの体制を整えること。

にあります。

(後者に関しては、保護者や高校の教員が支援のニーズを自覚していないと難しいですが・・・。)

前述した入学後の躓きに立ち返ると、

●障害特性の為に宿泊型のオリエンテーションが難しいと申告して来た生徒には、別途個別のガイダンス日を設ける。

●履修上の悩みは教務課、心の悩みは学生相談室、進路に関する悩みはキャリアセンター、というように相談の為の資源を明示する。

と言ったことで、スムーズに大学生活へと繋ぐ事が出来ます。

ただ、現場の教職員の方の中には、「その生徒だけ特別扱いは出来ない。」「甘やかしでは無いか。」「そんな事では、卒業後に社会で通用しない。」という誤解をお持ちの方もいらっしゃると思います。

ある意味では、それは正しい事なのかもしれません。

ですが、

●「障害特性の為に現時点で困難な事があるのであれば、飛び越えられる別のハードルを設ける。」

というのは、必要な教育的配慮だと私は思います。

今は出来なくても、これからの大学生活の中で徐々に獲得していく事は沢山有るのですから。

先ほどのオリエンテーションの例で言えば、別日程を設け、その約束をきちんと守るよう約束する事は、甘やかしではありません。

障害特性に対する正しい理解と、教職員の方々の対応・伝え方次第で、解決出来る事はまだまだ沢山あります。

是非、様々な背景を持つ生徒が充実した大学生活を送れるような学校づくりを一緒に進めていきましょう。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

発達をサポートするという視点

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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土曜日の日中はお休みを頂いて、特定非営利活動法人ノンラベル主催の『アスペルガー支援者養成講座』に行って来ました。

(「発達障害」というキーワードは、学生時代に不登校や中途退学について学ぶ中で出会い、今も個人的なテーマの一つになっています。)

今回は、ゲスト講師として、

●『30歳からの社会人デビュー―アスペルガーの私、青春のトンネルを抜けてつかんだ未来』(花風社)

の著者である藤家寛子さんをお招きし、後半にはニキ・リンコさん、花風社の浅見淳子さんとの対談まで伺うことが出来ました。

正確な内容は、花風社さんが出版されている書籍をお読み頂くのが一番かと思いますが、自分なりに咀嚼してのみ込んだポイントは、

①社会で生きていくには、(障害の有無に関わらず)強くならなければならない。

②支援者は、「世の中は障害の事を分かってくれない・・・。」というような誤った社会観を植えつけてはいけない。

③社会で生きていくのは、実は結構楽しいし、それによって楽になることもある。

という三点です。

シンプルですが、非常に重みのある言葉です。

この①~③をよくよく吟味すると、詰まるところ、

●人生の初期段階で、どんな支援者(保護者・学校の先生・ワーカー・ドクターなど)と出会うか。

がかなり大事な要素になってくるように感じます。

すなわち、その支援者のもとで、自己の課題を適切に理解し、体力やソーシャルスキルを身につけ、未来に対する前向きな期待を養っていく事がとても重要だということです。

これらは、我々が担う教育の仕事の本質を示しています。

知識や技術を習得させるのも学校やスクール業の大切な役割ですが、「生徒の発達をサポートする」という役割を再認識する事で、これまで以上にサービスに幅と深みが生まれてくるはずです。

実際にこれらの課題に取り組まれている学校さまについては、また別の機会にご紹介していきたいと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)