放課後等デイサービスにおける支援の質の二極化

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

いつもお読み頂き有難うございます。

就学中の障害のある児童に対し、放課後や学校休業日に療育の場を提供する放課後等デイサービス。

全国的にはまだまだ整備が遅れている地域が多数存在するものの、260万人以上の人口を擁する大阪市は比較的環境が整っていると言われるエリアです。

選択肢が多いのは喜ばしいことですが、お会いする近畿圏の経営者さまの中では、新規参入に伴い事業所間で生じた支援の質のばらつきが問題視されるようになっています。

事実、大阪市福祉局が平成24年7月に行った調査でも、発達障害児を受け入れている69事業所のうち、

●視覚支援を行っている事業所:61%

●感覚統合に関するプログラムを取り入れている事業所:30%

●PECSや絵カード・マカトンなどのコミュニケーション支援を行っている事業所:46%

となっており、発達障害児に有効とされるこれらの手法を導入していない事業所が5割前後も存在することが指摘されています。

つまり、独自のプログラムの導入以前に、療育の基盤となる支援技法だけでも、既にこれだけの差が生まれているのです。

療育の場としてでは無く「預かり」を目的とする施設も一つの在り方かも知れませんが、これらの技法の整備無くしては、安心・安全な環境の提供もままならない恐れがあります。

よりよい放課後活動を提供し、療育の場・ソーシャルスキル獲得の場を保障する為に、是非とも正面から取り組んでいきたいテーマだと感じます。

参考:大阪市福祉局障害者施策部障害福祉課『放課後等デイサービス事業所における発達障がい児支援の現状

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

ネットワークの力が福祉を変える

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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福祉サービス事業所で働く方にお会いすると、行政や相談機関との間で生じる温度差が話題にあがる事があります。

事実、定められているガイドラインが不明瞭である為に、支援を求める人に行政窓口で適切な情報が提供されず、障害福祉サービスの円滑な受給が出来ないケースがあるそうです。

利用者さんの気持ちや、結果的に調整役となる民間の支援者の負担を考えると、行政への不満の声が聞かれるのも頷けることだと思います。

(行政の方で、不快に思われたらすみません。あくまで、そういうケースもあるらしい、という話です。)

先日お会いした関西の福祉系NPOの経営者さんは、これらの問題に全く異なる姿勢で取り組んでおられました。

すなわち、自ら他の事業所と行政を巻き込んだ自主的なネットワークづくりをする事によって、地域全体の福祉サービスの向上に尽力されているのです。

具体的には、

●事業所運営上の規定に関する情報の共有によって、福祉サービス提供者側のコンプライアンスの遵守を徹底する。

●都道府県レベル、市区町村レベルの制度の違いを共有し、行政担当者・事業者・サービス受給者の混乱を未然に防ぐ。

●地域で未整備の福祉施策に関しては、ガイドラインの提案という形で、行政への積極的関与を行う。

といった取組みをされています。

この方の眼には、自施設の利用者さんや職員さんの事だけでなく、地域全体の支援の問題まで映っていることが伺えます。

凄い経営者さんですね。

非常に素晴らしい方だったので、ここに記させて頂きます。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

結局は自分がどこまで変われるか

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

いつもお読み頂き有難うございます。

以前、関西でずっと障害者福祉に携わってこられた方にお話を伺う機会が有りました。

その時の話題は主に作業所や就労支援に関することだったのですが、

「結局は、支援者自身がどこまで変われるかです。」

という言葉がありました。

私は福祉の現場で働く者ではありませんが、この「●●者自身が」という部分を入れ替えれば、どんな仕事にも言える事だと思います。

小さな事にこだわり失敗を繰り返してしまう私は、事あるごとにこの言葉が頭に浮かび、いつも恥ずかしい気持ちになります。

今朝も眠りから覚めた時、雨音を聞きながらこの言葉がひどく思い出されたのでここに記しました。

今日も一日宜しくお願い致します。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

生徒が最良の支援者になる

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

いつもお読み頂き有難うございます。

教育現場の先生方とお会いすると、発達障害のある生徒さんに対してどのような関わりをすれば良いか、という声をお聞ききする事があります。

極論を言うと、一人一人違うものですし、私は魔法のような方法は知りません。

ただ、限られた時間の中で、40名近い生徒に対してきめ細やかなサポートを行うのは、並大抵の事では無いと思います。

もっと沢山の支援者がいたら・・・、と誰もが感じるのでは無いでしょうか。

放課後等デイサービスを始めとした福祉事業を展開するNPO法人サンフェイスさんでは、この問題を正面から解決するある取り組みをされています。

それは、

●小中学校の生徒を対象とした発達障害に関する訪問授業

の実施です。

正直、私はお話を伺った際、「えっ、先生ではなく生徒さん向けですが?」と思わず聞きなおしてしまいました。

すなわち、障害に関する理解を深めて貰う為に、見え方や感じ方といった特性の体験や、適切な伝え方を知って貰うワークショップを提供されているのです。

授業の根底にあるのは、「相手の気持ちになって考えることが大切」というメッセージであり、柔軟な子ども達はどんどん吸収してくれると仰っていました。

言い換えれば、40人近い生徒が最良の理解者、支援者になる訳です。

それって、本当に凄い事だと思います。

(※言葉で言うのは簡単ですが、実際には訪問授業時の伝え方一つとっても、物凄い配慮がなされていると想像します。)

何も特別な支援で無くても、どうして困っているかを周囲が分かってくれる環境があれば、それに勝るものは無いように思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

福祉職の方が安心して働ける為の環境づくり

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

いつもお読み頂き有難うございます。

先日、放課後等デイサービスの事業を行う経営者さんにお話を伺う機会がありました。

放課後等デイとは、児童福祉法に基づき、就学中の障害のある子どもの生活能力向上の為の訓練を行うものであり、受給者証の取得によって1割負担で利用出来る事業です。

私自身、過去に生活訓練・就労継続支援B型事業所に関わらせて頂いた事があった為、人生の早い段階で関与できる放課後等デイの存在意義の大きさは、理屈抜きで納得出来るものがあります。

私のような若輩者が言うのは適切では無いかもしれませんが、支援者としても経営者としても、非常に素晴らしい方でした。

お話を伺って特に感動したのは、子どもへの質の高い療育機会の提供や保護者へのサポートだけでなく、

「職員の処遇改善」

に本気になって取り組んでおられるということ。

介護の分野では良く知られているように、福祉職のバーンアウトは非常に深刻な問題です。

様々な要因がある為一言では語れませんが、「仕組みの整備」で解決出来ることも多々あります。

やはり、本当に良い支援を行なうには、続けられる環境づくりが必要です。

福祉分野の経営者が取り組むべき重要なテーマであると感じます。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)