何かを辞めるという決断

高校で仕事をしていると、生徒が学校を辞める場面に立ち会うことがある。

個々の事情は異なるので、一概に良い悪いは語れない。

ただ、自分の気持ちを正直に言うと、苦い思いが残ることの方が多い。

しかし、熟考した上での前向きな決断は、素直に応援したい。

何かを選び取る為に決めたのであれば、例え周りが否定的なことを言おうと、気にする必要はないと思う。

そもそも、何かを辞めたことが無い大人なんて殆んど居ないはずだ。

僕自身、仕事や大切な人との関係、自分の目標を省みても、沢山の「辞める」という選択を重ねて来ている。

自慢出来ることでは無いけど、どうにもならなくて諦めたことを含めると、それこそ失敗は数え切れない。

何にせよ、高校生のうちにやるべきことを継続しながら、自分の心に従って進んで欲しいと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

好奇心のアンテナ

先週末に終業式があった。

4月からあっという間だ。

教員の私がそうなのだから、新1年生も同じような思いだろう。

皆何かしら、中学校時代とは違う自分を発見したのでは無いかと思う。

 

前期の最終週は、進路学習に充てられた。

進路の考え方や受験制度の学習、大学の講義の聴講、専門学校の体験授業といった類のものだ。

狙いは、どんな選択肢があるかを知り、早い段階から自分の将来について考えて欲しい、という点にある。

生徒の反応を見る限り、大学の講義を聞くことはまだ少し難しかったかも知れない。

それでも、講義内容を必死にメモしたり、手持ちの知識と関連付けながらイメージを膨らませたりして、一つでもキーワードを持ち帰ろうとしている生徒も何人か見られた。

その一方で、授業を漫然と聞いている生徒や、早々に理解を諦めている顔もある。

両者の能力の差は、遠くから見ればそれ程大きいものでは無い。

一番の違いは、未知のものに対し、好奇心を持って取り組めるかにあるように思う。

(勿論、進路に対する動機付けや、聞くための姿勢を習得させるといった教員側の仕事もある。)

高校生活はまだ始まったばかり。

自分の欲求や周囲の情報にアンテナを向け、良い夏休みを過ごして貰えればと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

 

友達づくり

高校の現場にいると、生徒の友達づきあいに関する悩みと直面する。

大人しい性格で、中々親しい友人がつくれない。

積極性はあるが、相手とトラブルを起こしてしまう。

一人一人の悩みは異なるが、大別するとこのどちらかであるように思う。

いずれのケースも、相手に応じた「適切な距離」「適切な関わり方」が獲得出来ていないという意味では、根は同じソーシャルスキルの問題と言える。

これらの悩みに対して何が出来るか。

必要なのは、生徒を焦らせない事だと思う。

友達を作る前に、まずはお互いに顔と名前が一致する「顔見知り」の関係を築く。

挨拶をし合うような相手が出来てから、半年、一年という単位の時間をかけて、少しずつ親しくなっていけば良い。

毎日のHRで繰り返し伝えていきたいし、生徒間のコミュニケーションを促すワークを通して後押しをしていこうと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

成長の時間

暖かい日曜日。
学生時代に非常勤講師をしていた高校の卒業生と一緒に、長岡京に有る『すずかけ教育相談所』を訪ねて来ました。

所長の金馬先生は、「教育の仕事がしたい。」という思いを持って大学生活をスタートした私に、通信制高校における支援について身をもって教えて下さった方。

この日は、久しぶりに再会した卒業生の近況を一緒に聞きながら、この一年間で取り組んでいくべき事について話をしました。
いずれも、大学卒業後を見据えた将来の話です。
卒業生の様子を見ていると、その身体の中でしっかりとした成長の時間が流れていることが感じられます。

相談室の窓からは、薄曇りながら明るい春の日差しが射し込んでいました。

人の成長は目に見える一方、自分の事はなかなか分かりません。
10代の頃と比べると多少は進歩したつもりですが、未だに右往左往してばかり。
僕自身、新学期を迎える前に一度頭の整理をしなければならないように思います。

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水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

高校に行く理由

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。

2016年に入り一週間が経ちました。
昨年を振り返ってみると、一番大きかったのは、約4年間勤務した会社を退職し教員として直接教育に携わるようになったこと。
考えうるあらゆる失敗をしてきましたが、がぶり四つの姿勢で仕事が出来ているのは、とても幸福なことだと思います。

私が通信制高校にこだわっている理由に、一般の全日制高校以上に、学校に行く理由を考えている生徒が多いと思っている事があります。
今まで出会った生徒や、今の職場を鑑みても、この認識はあながち間違っていないようです。
実際、
「中学校に行けていない時期があったけど、高校では○○を頑張りたい。」
「今まで学校の勉強がどうしても分からなかったけれど、基礎から出来るようになりたい。」
「人付き合いが苦手だけれど、頑張って克服したい。」
「将来やりたい仕事の為に、毎日学校に通い、今は○○に取り組みたい。」
という思いを持った生徒は非常に多いです。
こうした生徒の前向きな表情を前にすると、眩しさすら感じます。

一方で、もともと持っているエネルギーを、うまく学校での活動や学習に向けられず、学校に行く理由を見失っているように見える生徒がいることも事実です。
教員として、非常に苦しいです。

自分の行動に焦点を当てると、
①生徒のやる気の芽に気づけていない。見落としている。
②生徒と学校に行く意味を共有出来ていない。伝えられていない。
③生徒の力を引き出す力量が足りない。適切なアクティビティが示せていない。
といった点が課題になっています。

いずれも、起点となるのは相手との関係作り。
何かのせいにしたりせず、正面から向き合っていきたいと思います。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)