「みんな仲良く」という言葉

いつも有り難うございます、水溪です。

広汎性発達障害のある方への支援を行うNPOの講演で、「みんな仲良く」という言葉が引き起こす負の結果について学んだ事があります。

幼少期に学校で「みんな仲良くすべき」という情報をインプットされ、それが出来ないばかりに成人になっても集団自体を避けてしまうケース。

障害の有無に関わらず、同じようなシーンは結構眼に浮かびます。

私自身も、人間関係で悩んでいる生徒に対しては、事情にもよりますが、

「全員と仲良くしなきゃいけない訳じゃ無いしね。」

「そもそも、友人関係を築こうと思ったら、一年単位で時間がかかることもあるよ。」

といった話をすることがあります。

高校の現場にいる者として付け加えるとしたら、

「全員と仲良くならなくても良いけど、軽々しく人の好き嫌いを言うのは良くない。」

「皆と気持ちの良い挨拶をする事は、学校や職場でとても大切なこと。」

「クラスの一員としてやらなければならない掃除はきちんとやる。」

といった事はあわせて伝えていきたいですね。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

進路はキレイになんて決まらない

いつも有り難うございます、水溪です。
職業柄、高校生と進路について話すことがあります。
「将来、○○という仕事に就きたい。だから、卒業後は××という学校で学びたい。」と、はっきりとした目標を定めている人もいれば、
「なれるかは分からないけど、××という仕事に興味がある。」
「大学には行ってみたい。」
「きちんと仕事をして、経済的に自立したい。」
という声も耳にします。
皆、自分なりに真剣に考えようとしているのが伝わってきます。

教員としての自分は、進路は良く分からないという生徒に対しては、必死で興味の断片を引き出そうと努力します。
でも、一個人としては「そんな、進むべき進路についての答えが魔法のように見つかる訳無いよ。」という思いも一寸だけあります。

少なくとも私は、高校生の頃なぜ勉強をするか分かっていませんでしたし、大学が何をする所かも良く知りませんでした。
(そこに、保護者に経済的に依存している人間の甘えや、勉強に対する怠惰さがあったのも事実ですが。)

悩んでいる生徒に対してこれだけは伝えたいのは、まずは「自分がやりたいのはこういう事なんじゃないか。」という小さな仮説を持って、それを検証し続けると言うこと。

前述した仮説を検証する材料となるのは、自分の気持ちや理想、適性、お金や生活の事だったり、社会のニーズだったりそれこそ沢山あります。
こればっかりはキレイな答えなんて無いし、悩んで当然です。

僕もこの10年間、蛸壺に入ってウンウン悩んだり、冷や汗をかいたり、人に学んだり、痛い目にあったりして考え続けています。
どんくさい生き方かも知れませんが、悪くは無いですよ。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

ボランティアゼミを始めます

いつも有り難うございます、水溪です。
GWの休みを利用して、先日は自転車で琵琶湖を一周して来ました。
大津駅から湖を左回りに走り、湖北の深い緑や美しい水面を横目に眺め、200kmの行程を終えたのは完全に夜。
前回は半周で挫折していた為、何とかやりきれて一安心です。

この5月より、勤務先の高校にて「ボランティア・フィールドスタディゼミ」という通年の授業を持たせて頂く事になりました。
正に、「いつかこういう事がしたいな。」と思っていた授業!

本ゼミの目的は、現実に起きている問題に対して何が出来るか考え、行動することを通じ、生徒が将来の仕事を思い描くきっかけ作りをすること。
外部講師の方による講演やグループワーク、調べ学習や小論文も盛り込んでいきたいと思っています。

振り返って見ると、私自身、所謂普通の学校教育から外れて初めて学びの場を得たという覚えが有ります。

今の自分に、どんな場がつくれるのか。
いまからとてもワクワクしています。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

学び直せる場

いつも有難うございます、水溪です。

近頃、中学・高校分野の数学復習の為の書籍を持ち歩いています。

移動中や喫茶店で鞄から取り出してページを繰るのですが、目を通してすぐに思い出せるところもあれば、ペンを持って手を動かしてみないと頭の回路が繋がらない箇所もあります。

勉強したはずのことでも、時間が経つと忘れてしまうものですね。

話は少し変わりますが、全国で80校を上回る数となった広域通信制高校でも、中学分野の数学復習の機会を整えている学校が見られます。

本来通信制高校は、様々な理由で全日制・定時制の高校に通学出来ない生徒を対象に整備されたものですので、こういった基礎学習は最小限に留め、その他の活動を重視する事も可能です。

日常生活に関して言えば小学校の算数が身についていれば困ることはありませんし、全日制普通科では得る事の出来ない体験学習に重きをおくのも一つの形だと思います。

ただ、既に自分の理想の職業を決めている生徒を除いては、基礎学力修得の機会喪失が、進路実現の可能性を狭めてしまう恐れがあるのも事実です。

例えば、看護をはじめとした医療系分野では数学が問われますし、農業や工学といったものを産み出す仕事に関心がある場合も理系の勉強が必要となります。

この他にも、文系学部として知られるカウンセラーの仕事なども、より専門的に学んでいく上では統計学を勉強しなければなりません。

これらの大学レベルの数学は殆どが高校で学ぶものですし、それを支えるのは中学の分野です。

時間はかかるかも知れませんが、もし中学段階の内容に不安があるのであれば、そこまで立ち戻って学ぶのが一番近道であるように思います。

その意味でも、中学分野をフォローする為の授業を整えたり、イーラーニング等を通じて復習が出来る学校はとても理想的な場です。

苦手な分野があれば何度でも立ち返って学べば良いし、学校としてそれを応援する。

そんなメッセージの表れであるように感じます。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

他校を紹介する勇気

学校法人・教育・福祉業界コンサルタントの水溪です。

いつもお読み頂き有難うございます。

我々がオープンキャンパスや学校説明会の良し悪しを評価する際の項目の一つに、「他校に対する適切な情報を伝えているか」というものがあります。

言うまでも無く、説明会の場で優先すべき事は、自校について知って貰いその魅力を体感して貰う事です。

しかし、個別相談の場で生徒や保護者のニーズを細かく伺った上で、もしも生徒にとって他校が望ましい選択肢になり得るのであれば、その情報を伝える事も必要です。

私がお世話になったある通信制高校の校長先生は、学校内を一通り案内した後に、必ず上記のような姿勢で見学者の方と向き合っておられました。

短期的な「売上」の確保という意味では、もしかしたら望ましく無いことなのかも知れません。

その見学者さんが、他校を見た上で、それでも再び自校に来てくれるかは分からないですから。

ただ、教育者として私はこの先生を非常に尊敬していますし、多くの生徒さんもその人柄を慕って毎年入学されています。

自校が何の為に存在しているか、また出来ること・出来ないことが明確であり、現在提供している教育内容に自信があるからこそ出来ることだと思います。

教育はそれを望む人全てに開かれているべきものだと思いますが、相手が求めるものと自校の強みとが合致しない可能性があるのであれば、他校を紹介する勇気も必要だと感じます。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)