学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。
いつもお読み頂き有難うございます。
生徒に対するフォロー力を計る指標に、「中途退学率」という数字があります。
文部科学省の発表によると、平成23年の中退率は1.6%であり、2.5%を超えていた平成10年前後と比べて改善は見られるものの、依然として5万人を超える中退者がいる事がわかります。
一言に中退と言っても、その理由は一人一人異なります。
極論を言ってしまえば、教員としてこれらの生徒に出来る事は限られています。
例えば、生徒の家庭の経済上の問題を解決する事は出来ませんし、病気やけがを治す事も出来ません。
しかし、実際には中退理由の4割近くは「学校生活・学業不適応」に因るものです。
言い換えれば、学習上の躓きを乗り越える為のサポートや、人間関係・適応上の配慮さえ行えば、上記理由による中退の殆どが未然に防ぐ事が出来ます。
では、具体的に何に取り組めば良いのでしょうか。
ここでは、教育現場の先輩諸氏から学んだ事を3つだけ挙げさせて頂きます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.学習上の躓きを持っている生徒に関する情報共有
・・・「誰が」「何で困っているか」「どのようなサポートが必要か」を把握します。先生方が足並みを揃え、一貫性のある対応を行う事が求められます。
2.教員自身が適切な伝え方を学ぶこと
・・・人間関係・適応上の問題の背景には、何らかの障害が関係している場合が往々にしてあります。広汎性発達障害とその傾向のある生徒さんの「認知の傾向」「障害特性」を掴み、効果的な伝え方を実践する事がカギとなります。
3.授業時間以外での居場所と学ぶ場所作り
・・・保健室や自習室とは別に、雑談や学習上の相談が出来る「場所」と「時間」を設定します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
言葉にしてしまうと、これだけです。
この3つだけで、学校生活・学業不適応の理由で中退をせざるを得ない事態はほぼ避けられます。
私の個人的な思いを言わせて頂けば、入学を認めた以上、その学校で学び卒業したいという気持ちを持っている生徒に対しては、可能な限り向き合うのが先生の役割だと思います。
それぞれの詳細に関しては、また別の機会に取り上げさせて頂きます。
水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)