今の職場の教員になって、3年目になる。
一緒に入ってきた生徒たちも、もう最高学年。
将来を見据え、目の前のやるべきことに必死な顔で取り組んでいる者が多い。
こういう表情って、とても素敵だと思う。
勉強について。
学校の先生が口にするお説教で、
「今勉強しておかないと、いつか必ずもっと勉強すればよかったと後悔する日が来るよ。」
という文句があった。
自分自身の人生を思い浮かべてみると、悔しい思いをしたこと、痛い目にあったことは数限りなくある。
でも、この種の「後悔」は感じてこなかった。
きっと、人より愚かに出来ているからだと思う。
高校三年生の大学受験では、志望校の合格発表の掲示板を三度見返しても自分の番号は見つからなかった。
大学生の頃に福祉や教育の現場の門を叩いてからは、自分の力の無さを痛感するばかりだった。
大学院生の頃は、英語や数学と言った基礎学力、思考力の乏しさを感じ続けた。
社会人になってからも、そういった思いはずっと続いている。
勉強にせよコミュニケーション力にせよ、やはり高校生のうちに身につけるべきことは、可能な限りその時にマスターしておくに越したことは無い。
でも、自分がもしもう一度高校生の頃に戻れたとしても、きっと同じことを繰り返すと思う。
迷い、右往左往し、多くの時間を無目的に使ってしまうだろう。
数え切れないほど不甲斐ない思いをした結果、30歳を過ぎた今、将来の為にできる事を何とかやっている。
高校生の生徒たちに伝えたい結論。
今やるべきことから逃げていると、自分が求める目的地に辿り着くまで、余分に時間がかかる。
人間としての持ち時間は限られているから、もっと遠くまで行ける可能性を持っていたとしても、夢の途中までしか行けないかも知れない。
後になってからヒリヒリするような思いを味わう事になる。
大人になってから遅れを取り戻そうとするのは、結構大変です。
水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)