福祉職の方が安心して働ける為の環境づくり

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

いつもお読み頂き有難うございます。

先日、放課後等デイサービスの事業を行う経営者さんにお話を伺う機会がありました。

放課後等デイとは、児童福祉法に基づき、就学中の障害のある子どもの生活能力向上の為の訓練を行うものであり、受給者証の取得によって1割負担で利用出来る事業です。

私自身、過去に生活訓練・就労継続支援B型事業所に関わらせて頂いた事があった為、人生の早い段階で関与できる放課後等デイの存在意義の大きさは、理屈抜きで納得出来るものがあります。

私のような若輩者が言うのは適切では無いかもしれませんが、支援者としても経営者としても、非常に素晴らしい方でした。

お話を伺って特に感動したのは、子どもへの質の高い療育機会の提供や保護者へのサポートだけでなく、

「職員の処遇改善」

に本気になって取り組んでおられるということ。

介護の分野では良く知られているように、福祉職のバーンアウトは非常に深刻な問題です。

様々な要因がある為一言では語れませんが、「仕組みの整備」で解決出来ることも多々あります。

やはり、本当に良い支援を行なうには、続けられる環境づくりが必要です。

福祉分野の経営者が取り組むべき重要なテーマであると感じます。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

事業を拡大しても続けられる体制づくり

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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現在、国内で15,000店を超える展開を行うセブン-イレブン・ジャパン。

同社がまだ十数店舗だった黎明期の事業観が伺えるエピソードがあります。

正月5日まで休みである事が一般的であった当時、セブン-イレブンはサービスの向上を目指して元日からの営業を決めます。

取引先や配送業者も正月休みに入る中、商品供給を滞らせない為に幹部陣が提案した打開策が、「倉庫を借りて自分達で配送する。」という案。

しかし、鈴木会長はこの意見を厳しく否定されたそうです。

私のような単純な人間は、「えっ、何で?」「幹部陣も現場の問題を解決する方法を自ら出して、フットワークが軽くて凄いのに。。。」と素直に思ってしまいます。

では、何故なのか。

理由は、一言で言うと

「その方法は、1,000店になっても自分達で出来る方法では無いから。」

というもの。

結果的に、取引先に頼み込んででも届けて貰うよう指示されたそうです。

単に目先の問題を解決すれば良いのでは無く、何店になっても実行出来る体制作りを行い、それをもとに日々行動をしなければいけない、という事かと思います。

経営者の事業を見通す眼に感服致します。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

学習上の躓きを持っている生徒に関する情報共有

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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前回の記事、中途退学を防ぐ為に全日制高校の先生が出来る事で触れました、

1.学習上の躓きを持っている生徒に関する情報共有

に焦点を当てます。

ここでは、「学習上の躓き」の背景にある要因を大きく2つに分けて考えてみましょう。

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①発達の遅れや偏りによる躓き

②学級崩壊や不登校経験などによる、小中学校相当の基礎学力未修得による躓き

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まず、①発達の遅れや偏りによる躓きについて。

過去の文部科学省の調査でも、学習面又は行動面で困難を示す発達障害のある生徒が、小中学校に6.5%程在籍する事が示唆されていました。

既に外部の相談機関に繋がっている場合や診断を受けている場合は、保護者・支援者との間でチームサポートの体制を整える事で、効果的な療育が可能です。

ただ、受診する程では無いものの、ある種の苦手を持っている生徒さんも多くいらっしゃいます。

例えば、障害特性によって、「聴覚の過敏さの為に騒がしい教室で落ち着いて学習が出来ない」「昼夜逆転による生活リズムの乱れで定時に登校出来ない」といった事が起こりえます。

また、「集中力が持続しにくい」「作文や計算といった特定の分野が物凄く苦手」と言った悩みや、「長々とした説明を聞いて理解するのが不得意」と言った声、「コミニュケーションが苦手で休み時間が苦痛」といった話もしばしばお聞きします。

現場の先生方が日々試行錯誤されているのは、こういった生徒さんをどう理解するか、といった事ではないでしょうか。

学校によっては、別室登校の為の環境を整えたり、外部のフリースクールや通所支援施設への登校を出席とカウントすると言った対応をされています。

その他にも、見通しが立ちやすくする為の工夫や、簡潔な伝え方の実践、休み時間に過ごすための場を設けるといった形の配慮で、スムーズな学校生活が送れるというケースもあります。

その為には、日々生徒さんと向かっている先生の誰かが小さなサインに気づき、教職員の間でシェアされなければなりません。

次に、「②学級崩壊や不登校経験などによる、小中学校相当の基礎学力未修得による躓き」についても見てみましょう。

何らかの理由で読み書きや計算の基礎学習をする機会を失ってしまうと、勉強自体に苦手意識を持ってしまいますし、高校の学習についていくのも非常にしんどくなります。

これらの生徒には、適切な教材を設定し、自学自習による学び直しを促す事が有効です。

一人ひとりによって適した形があると思いますが、学習範囲と期間を決めた上で採点も自分で行って貰い、教員は進捗の確認と、それでも分からない際の解説といった部分的なサポートで良いかと思います。

何よりも大切なのは、

「わからない事は恥ずかしい事では無いし、今から出来るようになれば良い。」

というメッセージを送り続ける事でしょうか。

小さな基礎の積み重ねは、きっと自信に繋がるはずです。

①と②のいずれも、担任、学年主任、教頭先生を始めとしたキーマンが、「誰が」「何で困っているか」「どのようなサポートが必要か」といった情報をきちんと共有し、躓きの理由に応じた適切なサポートを行っていく事が、中退を抑制する上で不可欠と言えます。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

中途退学を防ぐ為に全日制高校の先生が出来る事

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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生徒に対するフォロー力を計る指標に、「中途退学率」という数字があります。

文部科学省の発表によると、平成23年の中退率は1.6%であり、2.5%を超えていた平成10年前後と比べて改善は見られるものの、依然として5万人を超える中退者がいる事がわかります。

一言に中退と言っても、その理由は一人一人異なります。

極論を言ってしまえば、教員としてこれらの生徒に出来る事は限られています。

例えば、生徒の家庭の経済上の問題を解決する事は出来ませんし、病気やけがを治す事も出来ません。

しかし、実際には中退理由の4割近くは「学校生活・学業不適応」に因るものです。

言い換えれば、学習上の躓きを乗り越える為のサポートや、人間関係・適応上の配慮さえ行えば、上記理由による中退の殆どが未然に防ぐ事が出来ます。

では、具体的に何に取り組めば良いのでしょうか。

ここでは、教育現場の先輩諸氏から学んだ事を3つだけ挙げさせて頂きます。

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1.学習上の躓きを持っている生徒に関する情報共有

・・・「誰が」「何で困っているか」「どのようなサポートが必要か」を把握します。先生方が足並みを揃え、一貫性のある対応を行う事が求められます。

2.教員自身が適切な伝え方を学ぶこと

・・・人間関係・適応上の問題の背景には、何らかの障害が関係している場合が往々にしてあります。広汎性発達障害とその傾向のある生徒さんの「認知の傾向」「障害特性」を掴み、効果的な伝え方を実践する事がカギとなります。

3.授業時間以外での居場所と学ぶ場所作り

・・・保健室や自習室とは別に、雑談や学習上の相談が出来る「場所」と「時間」を設定します。

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言葉にしてしまうと、これだけです。

この3つだけで、学校生活・学業不適応の理由で中退をせざるを得ない事態はほぼ避けられます。

私の個人的な思いを言わせて頂けば、入学を認めた以上、その学校で学び卒業したいという気持ちを持っている生徒に対しては、可能な限り向き合うのが先生の役割だと思います。

それぞれの詳細に関しては、また別の機会に取り上げさせて頂きます。

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)

看護という仕事に求められるもの

学校法人・教育業界コンサルタントの水溪です。

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仕事柄、看護系の学校の先生にお目にかかる事があります。

優れた観察眼と、優しさが同居した視線とでも言うのでしょうか。看護師、元看護師という方の眼差しには、一種独特のものを感じます。

看護の基本原理を築き、信念の実践者でもあったフローレンス・ナイチンゲールは、『看護覚え書』の中でその職業を次のように表現しています。

●自分自身はけっして感じたことのない他人の感情のただなかへ自己を投入する能力を、これほど必要とする仕事は他に存在しない。

こうも言っています。

●もしあなたがこの能力を全然もっていないのであれば、あなたは看護から身を退いたほうがよいであろう。

これから進路を考える10代の気持ちで読むと、非常に厳しい言葉ですね。

勿論、「全然もっていない」というのは稀だと思います。

また、人間は発達する存在ですし、多少の苦手はあっても、努力やその他の力でカバー出来る余地もあると信じたいです。

ただこの問題は、よりよいキャリア形成や中途退学の抑制という意味でも、生徒・教育者共に正面から向き合う必要のある大事なテーマだと思います。

やはり、一生にかかわる事ですから。

学校広報の立場から言えば、生徒募集の為の情報発信だけでなく、その厳しさや困難さも積極的に伝えていく姿勢と、事前相談会による意思のすり合わせの機会の充実が不可欠と言えるでしょう。

~追記~

どの職業にも、いつでも立ち返ることの出来る原点と言える書物があると思います。

そういう本があるのは幸せな事ですね。

私はたまたま浪人中に薦められてこの本を読んだのですが、今開いても、やはり震えるような思いがします。

これから進路を考える方は、良く分からなくとも良いので、そういった書物を教えて貰ってページをめくってみることをおススメします。

NOTES ON NURSING

水溪 悠樹(ミズタニ ユウキ)